カップル玉北編 8 side:K ページ8
8 side:K
「玉、なんか今度は急に男らしくなったね・・・」
「うん・・・二人ともありがとう・・・」
涙を拭う動作をして、千賀は笑顔で俺たちに笑いかける。うんうん、良かったと俺はご満悦だった。すると――
「おっはよーございますー!!」
これまたひと際大きい声を出しながら、二階堂が車の中に駆け込んでくる。
「ニカ・・・」
笑顔に戻っていたはずなのに、千賀は二階堂の姿を見た瞬間に、表情を曇らせる。本当に素直というか何と言うか――自分を納得させてもやっぱり本人の口からきちんと説明してもらわなければ安心なんてできないんだろう。
そして、それは、きっと俺も同じ――
「何、千賀、どうして泣きそうなの?」
「ニカ、俺・・・ふぇっ」
急にしゃくりあげ、涙を浮かべる千賀を二階堂が慌てて抱きしめてあやすように背中を撫でている。こういうときは任せたほうがいいか、と俺がその様子を黙って見ていると――
「たーまーもーりー、お前、千賀をいじめただろ」
「はぁっ?お前ふざけんな。自分の胸に手をあてて考えてみろ!」
多分、玉の件があったことも関係していたのだろう。急に全身を苛立ちが駆け抜けた。人のせいにする二階堂に思わずカチンときてすぐに言い返した後に――しまった、いつものあれか、と俺は思わず自分の手で口を塞いでしまう。よく見れば千賀はもう泣いていなかったのに、本気で怒っている俺に感動した様子で瞳を潤ませている。結果、俺が泣かせてるじゃないか、とほほ!
「玉森ぃ、そんなに俺のこと・・・」
「いや、違わないけど、違う!俺は!」
「玉森、お前、千賀は渡さねぇぞ!!」
ギュッと千賀を抱きしめて、こちらを威嚇してくる二階堂に、俺は本当に違う!と何度も首を振った。
「――っ、うるさいなぁ・・・」
気怠そうにそう呟くと横になっていた玉が目を覚ました。
「あれ・・・何で隣にいないの・・・ミツ・・・じゃなくて玉ちゃん・・・」
「ご、ごめん!玉・・・じゃなくてミツ!すぐに席に戻りますー!」
いろいろ適当に誤魔化しながら、俺は席に戻り、玉を改めて抱き寄せた。もしかして寝言だったのかなと思うほど、玉の寝つきが早くて、一連の話も聞かれていなさそう、とホッとする。でも、玉と二階堂の疑惑はまだ残っている――俺は目を伏せて俯いた。
「やっぱり今日の二人なんかおかしい・・・」
宮田の独り言は聞こえていたけれど、聞こえないふりをした。
「・・・(早く現場に到着してくれ〜)」
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作者名:ほわわ | 作成日時:2018年1月15日 0時