カップル玉北編 28 side:T ページ28
28 side:T
「・・・玉ちゃん・・・嬉しい、俺も・・・!」
満面の笑顔でポロポロと涙を流す俺の顔――でも、俺はその姿の先に同じ表情のミツの姿を思い浮かべる。もちろん小さくてふとした瞬間に女の子にも見えてしまうような可愛いミツの外見も俺の惚れている部分の一つなのかもしれない。だけど、たまにやんちゃだったり、チャラい姿を見せたり、男気たっぷりでグループをひっぱっていったかと思えば幼く楽しそうに笑ったり――ミツを愛しているのは間違いなく見た目だけではなく、ミツという存在に惹かれたからなのだ。キスをしたり抱き合ったりは愛情の表現の一つであって、目的じゃない。もう二度とミツに触れられなくなっても、ずっと俺はミツだけを――そんな気持ちを込めて、俺はそっとミツの頬に両手をそっと伸ばした。
「もっと、近くに来て、ミツ」
コクっと頷くとミツは身を乗り出すようにして、俺と視線が合う位置で俺をにこやかに見つめてくれる。鼻先を擦り合わせて、クスッと笑いあう。
「俺、これからはかっこよくてゆるふわな玉ちゃんになれるように頑張るね」
「俺もギャル男の言葉覚えないとダメだなぁ」
「えっ、俺、そんな普段使いしてないよ!?」
うそうそ、と俺はミツを引き寄せてギュッとハグをする。馴染まない抱きしめ方も、もしかしたらいつかこれが当たり前のことになるのかもしれない。もしもう戻れなくても、またここから新しい二人の関係を築き上げていくことができるなら、それで――
「玉ちゃん」
「ミツ」
愛してる、と言葉を重ねながら俺達は、コツン、と額同士をくっつける。その瞬間に、身体中を駆け巡る想像以上の痛みに思わず目を固く閉じてミツを強く抱きしめる。
「・・・っ、うっ・・・!!」
「玉ちゃん・・・っ!!」
ミツの手が俺の背中をギュッと掴んだと思った瞬間に、離されたのを感じて見えないミツをより強く腕に抱え込んだ。
「ミツ・・・ミツ!!」
絶対に離さない――痛みが急に消え、そのまま意識を落としそうになってしまうのを必死でこらえた。ゆっくりと瞳を開くと、しっかりと自分の身体に腕を巻いているミツの姿が――俺がミツを抱きしめていたはずなのに、どうして・・・!?俺は自分の手をぼんやりする眼で見つめた。見覚えのありすぎるその手の形は、俺の身体そのもの――ゆっくりと顔を上げたミツも俺の顔を見て何度もパチパチと瞬きをしている。
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作者名:ほわわ | 作成日時:2018年1月15日 0時