カップル玉北編 25 side:T ページ25
25 side:T
そっと肩に触れると、ビクッと身体が大きく震えた。顔を見なくても今目の前の彼が泣いているのが分かるのは、自分の身体だからなのか、それとも――
「・・・ミツ」
――愛しいミツのことだから何でも分かってしまうのか。
「・・・玉ちゃん・・・玉ちゃんっ!!」
咽び泣きながら俺の腕の中に飛び込んでくる身体をいつもとは違う感じで強く抱きしめた。おさまりが悪い抱擁に、俺達は本当に入れ替わっているんだ、ということを痛感させられる。
「ミツ・・・ごめん、不安にさせて俺・・・」
「玉ちゃん・・・俺、玉ちゃんに嫌われたくない・・・!!」
全部話すから全部話して、と俺の胸元に顔を埋め、震えた手で俺の服をギュッと握るミツを見て、俺は掻き抱く様にミツを抱きしめた。
「嫌いになるわけない・・・なれるわけない、こんなに可愛いのに、ミツ・・・!!」
本当に?と双眸から涙を零しながらこちらを見上げる俺の顔――俺の泣き顔なのに、その表情の先に愛するミツの泣き顔が思い浮かび、胸がズキッと痛んだ。俺は両手を涙の伝う頬に触れ、そっと口づけた。んっ、と小さな呻き声を上げながらも静かにただ唇を重ね合わせていると――
「・・・違う・・・」
余計に悲しい顔をして顔を顰めるミツに、俺も同じ感想を持っていた。
――触れ合った時のキスの感触がいつもと違う・・・。
理論上では同じ唇がくっつきあっているはずなのに、何かが違う。俺の身体で受けるミツの唇はプルプルしていて吸い付いたら離してはくれないかのような感触なのに、今は――
「目を・・・隠してみようか。お互いの姿が見えているからちょっとおかしいだけなのかも」
「・・・やだ・・・あっ、玉っ!」
俺は頬に触れていた片手でそっとミツの瞳を覆い隠し、俺は目を固く瞑ってもう一度キスをしてみた。だけど、感触はやっぱりいつもとは違う――しかも目を隠していたせいか、自分の感覚が唇に集中してしまって、余計な違和感を二人の間に産み落とす。相手への疑いとお互いに内緒にしていることで知らぬ間に作ってしまったすれ違いが、具現化してしまっているかのようだった。
「・・・やっぱり違う・・・俺の大好きな玉ちゃんの唇じゃない!!」
どうしてこんなことに、と泣きじゃくるミツを俺は結局ただ抱きしめてあげることしかできない情けなさに、自然と俺も涙を零していた。この腕の感触すら、きっとミツにとってはまがい物のように感じているのだろうか――
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作者名:ほわわ | 作成日時:2018年1月15日 0時