カップル玉北編 24 side:T ページ24
24 side:T
「・・・緊急事態かも」
「何かあったのか、渉」
「弟組の方の取材が荒れているらしい」
兄組の方は取材が終わって、俺はバレないようにガヤと横尾さんから少し距離を置いて寝たふりをしていた。耳に入ってきた情報にびっくりして思わず身を起こしてしまう。
「宮田もちょっとパニックになっててよく分からないんだけど」
横尾さんの視線がこちらを向く。何があったんだ、と二人に駆け寄った。横尾さんの困ったような顔に自然と冷や汗が流れる。
「・・・千賀さんと裕太が泣いてるみたい」
「珍しいな、玉が泣くなんて」
何があった？と訝しげな表情でガヤは横尾さんに尋ねているが、横尾さんは電話だけだとよく分からない、と首を振るばかりだった。
「・・・っ、ミツが！？」
「いや、みっちゃんじゃなくて裕太が・・・んっ？」
何か変なツッコミしてるな俺、と横尾さんが首を傾げるのを後目に、俺は焦りに背中を押される様にして走り始めた。ミツの携帯電話を取り出し、俺の携帯に“迎えに行く”とだけ急いで打ち込んだ。
――どうして泣いているんだ、ミツ・・・！！
少しだけ離れてしまった自分の姿をした恋人の身に何があったのか――俺はもういてもたってもいられなかった。
「北山さん、まだ弟組は取材中です」
「いいから通してくれ！ミツ・・・ミツ！！」
「自分の名前を呼んでどうしたの？」
俺が弟組の撮影現場へ踏み込むことを遮ろうとするスタッフさんの背後から、二階堂の声が聞こえてびっくりしたように視線を送る。スタッフさんも撮影が終わったなら、とでも言わんばかりに静かにその場を去っていく。
「はぁ・・・はぁ・・・二階堂、玉は？」
「まだ奥の椅子に座ってる・・・って、どうしたのそんなに息をきらして」
「・・・その、玉が泣いたって聞いて」
そっかそれで焦って、と二階堂は手をポンと叩いて納得したようだった。そして、急に神妙な顔をするとペコリと俺に頭を下げる。
「・・・というかごめん、北山さんにはばれてたんだな、俺と玉が一緒にでかけたこと」
「・・・っ、二階堂、お前っ・・・まさかミツに・・・！！」
「でも誓ってやましいことはないから。一緒にホテルの・・・！っ！？えっ、北山さん！？」
「・・・っ、ミツ！！」
二階堂を突き飛ばすように、声をかけようとする千賀と宮田も振り切って、一直線にイスに力なく座り込むミツの元へ駆け寄った。
next→25
カップル玉北編 25 side:T→←カップル玉北編 23 side:K
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 304人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ほわわ
| 作成日時：2018年1月15日 0時
