カップル玉北編 11 side:K ページ11
11 side:K
「・・・ミツ、ミツ、起きて」
「う・・・ん、玉ちゃん・・・！じゃなかった、ミツ！」
「今は俺たちだけだから大丈夫だよ」
ハッとして周りを見渡すと、車の中には俺と玉だけだった。だからいつもの抱きしめ方でもいい？と玉は俺をそっと腕に抱き込む。目を閉じてその腕に抱き締められるとやっぱり安心してしまう。本当は聞きたいことがたくさんあるし、先の見えない状況への不安もある。それでも――
「ずっとこうしていたい」
俺も、と玉は俺に囁きながらも、仕事の時間が迫っていることは重々承知していた。そっと身体を離し、見つめあい直す。ああ、やっぱり玉の言葉と優しさだけど、身体は俺の姿だと思うと不思議な感じがしてしまう。
「ミツ、今日は俺から離れちゃダメ・・・いい？」
「うん、玉ちゃん・・・」
大好き、と俺は玉の腕に寄り添った。そっと頬に添えられた玉の手が俺の顔を上向かせる。お互いに顔を近づけてゆっくり瞳を閉じた瞬間――
「ちょっと、お二人さん！いい加減に出てきて！！」
横尾さんがキレてる、と宮田の声が車の中に響く。やばいやばい、と呟く玉に連れられるように、腕を絡めたまま俺たちは車を降りた。
「・・・ちょっと、二人とも仕事に私情を持ち込まないでくれる？」
いちゃつくのは後にしてよ、と目の前に立っているよこーさんは明らかに顔がキレていた。鋭い視線が向けられ、俺はビクッと身体を震わせ、より玉にしがみついてしまう。
「・・・(玉ちゃん、よこーさんがすごく怖い・・・)」
「・・・(あー・・・俺的には普通！そっか、多分見たことないだろうな・・・)」
とりあえず謝ろう、と玉に囁かれ、すみません、と二人でペコっと頭を下げてみせる。顔を上げると、玉が瞳をウルウルさせて首を傾げて、許してよこーさん、と甘えた声を上げる。
「うっ、みっちゃん、それは反則・・・」
「・・・(ふふふ、ミツの可愛らしさを前面に押し出せば怒れまい！)」
「・・・(玉、俺、そんなことしないから・・・！)」
変に思われちゃうよ、と玉の袖を引っ張ってみるが、気をつけてね、と言いながらよこーさんは頭をポリポリかくと他のメンバーを追って歩き出してしまう。
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作者名：ほわわ
| 作成日時：2018年1月15日 0時
