2-another-31 side:K ページ42
2-another-31 side:K
「どうしたら俺はミツを・・・この小さい身体を縛りつける鎖から解放してあげられるんだろうね」
「玉ちゃん・・・どうか・・・」
――俺を、連れ去って欲しい。
その言葉に瞠目した玉は俺の両頬にそっと手をかけ、顔を上向かせる。
「玉ちゃんと一緒に・・・自由になりたいよ・・・っ」
「ミツ・・・本気で?全部、全部捨てることになるかもしれないんだよ?」
「うっ・・・ううっ・・・!!」
本当は一番自由になりたいと願いながらも、最後の一歩が踏み出せず、運命の鎖にしがみついているのは、本当は自分なのかもしれない。その鎖の先にいる、藤ヶ谷にただ甘えて――藤ヶ谷を失いたくないのも本音だ。けれど、本当の俺の気持ちは、もしかしたら今、目の前にいる玉に全てを委ねることなのかもしれない。
徐に伸ばされる玉の指先が、俺の唇にそっと触れる。見つめあう熱い視線に惹かれあうまま、顔を寄せあおうとしたとき――
「・・・玉!キタミツ!」
宮田の声にハッとして、俺は玉の胸板をドン、と押して、乱暴に手の甲で瞳を拭う。扉に背をつけていた宮田に驚いた顔をして、藤ヶ谷が部屋の中へ入ってくる。
「・・・藤ヶ谷・・・待ってたよ!じゃあね、玉ちゃん・・・!」
「ミツ・・・じゃあ、また明日」
藤ヶ谷の死角に入りこむように少しだけ身を屈めると、玉は先ほど俺の唇に触れていた指にチュッとキスをして見せる。その姿に俺は思わず顔を赤らめて駆け出す。
「宮田もまたね!・・・藤ヶ谷、お待たせ」
「・・・ああ・・・さあ、帰ろう」
俺の肩を当たり前のように抱き寄せ、藤ヶ谷は玉と宮田に、また明日、と声をかけ、廊下に出る。帰り道はまたすれ違う人たちの視線が刺さるようで、好奇の瞳に曝されながら歩いていく。自分の家にたどり着き、送ってくれてありがとう、と藤ヶ谷に笑いかけ、俺は足早に家の中へ入ろうとした。その時――
「北山、今日も俺の部屋に泊まりに来るんだ」
「・・・っ、藤ヶ谷・・・!」
強く俺の手首を掴む掌が焼けるように熱い。藤ヶ谷の本気がヒリヒリと伝わってきて、自分には選択肢などないことを思い知る。
「・・・玉と何を話していたかはその時に聞かせてもらうから」
「・・・藤ヶ谷・・・」
「泣いていたことを隠しても無駄だ・・・」
じゃあ待ってる、と踵を返す藤ヶ谷の背中を見つめて、俺はガックリと肩を落としてその場にへたり込んでしまう。
――俺は・・・どうしたらいい・・・?
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作者名:ほわわ | 作成日時:2017年12月6日 0時