2-another-28 side:K ページ39
2-another-28 side:K
羽を広げた天使のように自由でゆるふわ――けれどきちんと自分の意思をもつ男らしい玉ちゃん。家柄とか身分とか関係なく自分にも遠慮なく踏み込んできてくれた。その逞しい姿が眩しくて、一緒にいるとがんじがらめに鎖に繋がれている自分もその運命を忘れられた。傍にいて欲しいと望まれることが嬉しくて、傍にいたいと願うようになっていったんだ。玉は俺にとって本当に天使のような人だ――その腕に抱き込まれている間は一緒に空を飛んでいるような気持ちになれた。
けれど、崩れかけていたはずの鎖は藤ヶ谷によってまた・・・より強く繋ぎ留められ、俺は浮かれて空を舞っていた気持ちと共に地に堕とされる。
――結局、俺は運命の鎖に繋がれたまま、自由になんかなれないんだ・・・!
泣きながら眠ったせいかズキズキと頭が痛みを訴える。けれど、デビューしたばかりで休む訳にはいかない。今日もアカデミーに行かなければならない。毛布を出た瞬間に、自分がシャツを破かれていたことに気がつき、身をブルッと震わせた。何度も訪れたことのある部屋なのに、藤ヶ谷が傍にいないだけでまったく違う景色に見えてしまう。藤ヶ谷はあの後、部屋には戻ってこなかったのだろうか――
「・・・早く、帰らないと・・・!」
早く身支度をしに帰らなければ、と俺はベッドから床に足をつけた。いくら婚約関係になったからとはいえ、敵地に一人でいるということが恐ろしくなってしまう。俺は恐る恐るドアノブを回し外に出る。
「・・・っ・・・!!」
部屋を出た俺の視界に入ってきたのは、藤ヶ谷の親戚たちの姿――俺と視線があった瞬間に口元を歪ませニヤニヤと下卑た笑いを浮かべている。藤ヶ谷の部屋から半裸の状態で出てきたということで誤解もあるのだろう。藤ヶ谷の婚約者になった俺を歓迎するわけでもなく――昨夜は楽しかったかとか、藤ヶ谷に身体を許したのだろうとか、どうせお前はそういう軽い人間だから、とでも言わんばかりの嘲笑いで俺の身体を舐めるように見つめている。俺はその嘲笑いから顔を背け両腕で胸前を隠し、足早に出口に向かって駆け出した。幸いなことに見張りもなく、誰に遭遇することもなく、俺は外に飛び出した。すると――
「ふ、藤ヶ谷・・・!?」
「・・・家まで送る。準備ができたら一緒にアカデミーに行こう」
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作者名:ほわわ | 作成日時:2017年12月6日 0時