2-another-25 side:F ページ36
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「ね、ねぇ藤ヶ谷・・・これ、冗談だよね?この場を上手く治めるためだけの・・・」
宣言した後、戸惑う北山の腕を取って俺は自室へと向かっていた。何度も呼びかける北山には返事をしないまま――
「北山、ベッドに座ってくれ」
「・・・藤ヶ谷・・・何か今日変だよ、このパーティだって・・・」
急にどうしたの?と北山はベッドの淵に浅く腰をかけ、自分の胸に手をあてて不安げに俺に視線を送る。
「これで俺と北山は婚約者同士になった。アカデミーを卒業したら一緒に暮らそう」
そのときに家も一つにまとめてしまおう、と俺は上着をイスにかけて、北山に歩み寄る。
「待ってくれ!まさか、本気で・・・!?だって俺達、男同士なのに!」
「・・・北山の懸念事項がそれだけなら問題ない。この街を治めればルールだって変えられる」
「そうじゃなくて・・・だって・・・!」
身を屈め、北山と視線の位置を揃えると俺はそっと手を伸ばし北山の頬に触れる。今までに見たことがない俺を見つめる脅えた瞳――玉に見せていた笑顔とは全く違うけれど、俺だけに向けられているのならそれで構わない。
「・・・やっと、お前を取り戻した・・・北山」
親指を伸ばし北山の赤い唇をそっと撫で、俺は北山に思いきり顔を近づけた。ビクッと身を震わせた北山は両手で俺の胸を押し、反動でベッドに倒れこむ。すぐに身を起こし、四つん這いでベッドの中心へと向かう。俺はすぐさま追いかけ、その背中に覆いかぶさり共にベッドに倒れこんだ。北山の身を転がすようにして仰向けにし、両手を顔の横に抑えつける。
「え・・・えっ、何で、藤ヶ谷・・・!?」
戸惑い大きく見開かれた瞳が少しだけうるみ俺を見つめている。
「北山・・・!」
ずっと昔から北山が何度も危ない目に遭わされていたのは、そうさせる不思議な魅力があるからだと思っていた。本人が気がついていないことが罪なほど、童顔で純粋無垢で、どこか征服欲をかきたれられる。自分だけのものにしたい、その全てを手に入れたい――そう思わせるような不思議な魅力を持っているのだ。だから、無造作に北山に触れて手に入れようとして追い払ってきた数々の男たちを本当は――
――心のどこかで、羨ましく思っていたのかもしれない。
俺は北山のシャツの襟元に手をかけ、一気にシャツを引きちぎり胸元を大きく開かせた。
「いっ・・・いやぁっ・・・!!」
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作者名:ほわわ | 作成日時:2017年12月6日 0時