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あっという間のバタついた一日を終え、俺は自宅に帰った。扉の空いている部屋から聞こえる不穏な声――
「・・・北山家の息子さん、あの玉森っていう子と良い仲みたいね」
控室で抱きしめあっていたって聞いたわ、と親戚の声が聞こえ、俺は思わず扉に耳をつけた。何の相談かと思う反面、北山と玉が抱きしめあっていたという真実に衝撃を受ける。
「なるほど、街の外から来た人間がリーダーになるとは、北山家の後ろ盾あってのことか」
「ええ、実際玉森って子が北山家に出入りしているところをうちの手先が確認してる」
「大方、北山家の息子が玉森とやらを誘惑したのだろう・・・昔からそうだ」
北山を嘲笑うかのようなおぞましい発言に、身体全体が震えだすかのようだった。
「この間も北山家の刺客がうちの跡取りを狙ったって話だし。そろそろ・・・」
「北山を消す、か?玉森と一緒に・・・」
「このままだと、この街の代表権を奪われる!そうならないうちに・・・」
「・・・やめろ」
身勝手な物言いに堪忍袋の緒が切れた俺は、聞き耳を立てていた部屋に踏み入った。話を聞かれたかと動揺を隠しきれない親戚一同を見て、沸騰しきった怒りを鎮めようと必死に深呼吸をする。
「・・・北山や玉を消す以外にも・・・この街の代表権を得る方法がある」
部屋中をざわつきが駆け巡る。俺は言葉を続けた。
「明日、北山家とパーティをしよう。名目は何でもいい」
そこで・・・と続けた俺の言葉に、全員が瞳を丸くして一瞬絶句したようだった。次第に時間が動き出したかのように、静けさは賑やかさに姿を変える。首尾よく頼む、と言い残し、俺は部屋を後にした。その瞬間に身体全体から脂汗が噴き出してくる。微かに震える指先を握りこみ、俺は胸の前でグッと握りしめた。
「・・・お前を守るためなら・・・俺は、手段は選ばない」
亀裂が入って崩れ落ちたとしても、鎖の破片を何度でも繋ぎあわせて、その手枷を北山の手首にかけよう。反対側には俺の手首を差し出して――
――北山、お前を今一度、運命の鎖で縛りつける・・・!!
次の日に開かれたパーティは即興にしてはよくできたもので、敵視しあっている家の者同士が一堂に会していることに北山も戸惑いを隠せていないようだが、このままみんな仲良くなればいいのに、と微笑む。
安心していい、その願いは叶えるから。そのために――と俺はその場で宣言をする。
「俺は、北山と結婚します」
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作者名:ほわわ | 作成日時:2017年12月6日 0時