2-another-�� side:K ページ27
2-another-�� side:K
「・・・ミツ、その格好だと帰りにくいよね？」
俺の家で着替え貸してあげるから、と俺は玉に連れられて玉の家を訪れる。
「玉ちゃん、一人で住んでるの？」
「うん、もともと・・・急にこの街に来ようって決めたから必要最小限で」
宮田は心配だからついていくって聞かなかったけど、とシンプルで観葉植物がある部屋に通してもらう。ソファーとかないからと玉のベッドに腰かける。
「服のサイズ合いそうなの選ぶから待ってて」
その前に何か飲む？とバタバタしている玉は恐らく俺を気遣ってくれているに違いない。俺は顔を俯かせた。
「玉ちゃん・・・ごめん、その前に身体を拭きたくて・・・」
自分を襲った男の舌や手が這いまわった感触がいまだに身体に残っているような気がして、俺は自然と震えてしまっていた。
「気が利かなくてごめん、ミツ。すぐにタオル用意するね」
「ごめんね、玉ちゃん・・・ありがとう」
玉はすぐに温かいタオルと乾いたバスタオルを持ってきてくれた。
「ミツ、俺が拭ってあげる」
「えっ、いいよ・・・俺、汚れてるし」
同じ男なのに、遠慮なく触られたり、身体にいたずらをされたり、そういう卑しい感情の対象に貶められている俺は穢れているのだ。何度もそんなことが続くうちに自分はいつの間にか近づいてくる人間を警戒して無意識に避けているのかもしれない。藤ヶ谷もきっとそれを理解していつも俺を守ってくれているに違いない。
同じ運命の鎖で繋がれている藤ヶ谷――
「・・・ミツは綺麗だよ、いつも」
そういうと玉は戸惑う俺の腕を取りタオルで拭い始めてくれる。服をとりあえず脱ごうか、と玉に促されるまま俺はブレザーと破かれたシャツを脱ぎ捨てる。
「俺・・・実はミツの歌声に惹かれてこの街に来たんだ」
えっ、と瞳を丸くして玉を見つめる。ちょっと恥ずかしいから後ろ向いて、と玉は俺の身体を反転させ背中にタオルをあてる。
「祭りの日に宮田とこの街に遊びにきたことがあって、ミツがその時聖歌隊の格好で讃美歌を歌ってた」
すごく綺麗な歌声でずっと聞き入って見惚れていたのだと――玉の言葉に俺の心臓はドクンと高鳴った。
「本当に奇跡の歌声で・・・俺はミツが天使なんじゃないかって」
帰ってからもずっとミツの声と姿が忘れられなくて俺はここへ来たんだ、と玉の両腕が後ろからそっと回される。
「だから自分を責めないで・・・ミツは本当に綺麗だ。俺の天使だから・・・」
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作者名：ほわわ
| 作成日時：2017年12月6日 0時
