2-another-�� side:K ページ24
2-another-�� side:K
目の前には地面に倒れこんでいる男の姿が映り、さらに顔を上げると――
「・・・玉ちゃん・・・！」
「ミツ！！」
怪我はない！？と必死の形相をする玉の顔を今まで見たことがなくて、俺はびっくりしてしまう。そして、どうしてここにいることが分かったの？と瞬きを何度も繰り返す。
「いろいろ聞きたいこともあるし、ミツもあると思うけど、とりあえず早くここを出よう」
そう言って玉は俺の拘束を外してくれる。よろめきながら俺は身体を起こすと、自分の状態に気がつき、思わず両手で身体を隠した。玉に知られたくない――自分が男の欲望の対象にされたことなんて。そんな俺の気持ちを知ってか知らずか、玉は自分のブレザーを脱ぎ、俺に差し出してくれる。
「・・・隙を窺ってた・・・ごめん、もう少し早く駆け込めばミツをこんなに怖い目に遭わせなくて済んだのに」
「玉ちゃんが謝ることじゃない！それにこれは俺自身の問題でもあるし・・・」
「・・・どういうこと？」
「・・・玉が倒してくれた人は・・・俺の家が藤ヶ谷に向けた刺客なんだ」
勘違いされて、と俺は顔を俯かせた。そうずっとこんなことが続いている。家を巡る争いに俺も藤ヶ谷も何度も巻き込まれて――でも藤ヶ谷はきっと自分の力で乗り越えているはずなのに、俺はいつも藤ヶ谷に守られてばかりで、自分が情けなくなる。
「この街で・・・家の名前を背負うために生まれてきた以上は・・・仕方がないことなんだ」
「・・・こんな運命が・・・ミツの運命だなんて認めない」
いつの間にか玉の腕が俺をそっと抱きしめてくれている。そんなに強がらなくていい、と頭をそっと撫でられると、無意識に涙が込み上げてきていた。
――本当は、とても、怖かった。
「俺が救い出して見せる・・・ミツを縛りつけるこの運命から！」
俺を抱きしめたまま、颯爽と立ち上がった玉はとても凛々しい表情をしていて、俺は思わずキュンとしてしまった。そんな言葉を言ってくれた人は今まで誰もいなかった――同じ運命を背負っている藤ヶ谷も。優しく微笑みながらも、強い意志を玉から感じて、俺は鼓動の高鳴りを抑え込むかのように、玉のジャケットごと腕で自分の身体を抱きしめる。
「・・・玉ちゃん、俺・・・本当は・・・もっと自由になりたくて・・・！」
信じていい？と自分の声が涙声になっていて、初めて双眸から涙を零していることに気がつく。
「ミツ・・・大丈夫、必ず助けるから」
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作者名：ほわわ
| 作成日時：2017年12月6日 0時
