2-another-�� side:K＆T ページ21
2-another-�� side:K＆T
その言葉を聞いた瞬間に、この男達は、“北山”の家のものが手配した刺客だ、と理解し、身体は動かせないのに身震いだけが止まらなくなってしまう。
「ああ、赤い制服の二人連れで、帽子をかぶっている方が“藤ヶ谷”の跡取りだという話だった」
「じゃあ早速手はずどおり・・・アジトに連れて行って始末しないと」
違う俺は北山だ！と何とか伝えてこんなことを二度としないように、そして塞がれた口では何を伝えることもできず、双眸から涙だけが伝った。口を塞いでいた男の手が顎を掴んでくる。
「噂通りの美人さん・・・どうせ始末するなら、楽しんでからでもいいっすよね」
「そこは好きにしろと言われてる・・・誰かに見つかる前にとりあえず引き上げるぞ」
はいはい、と返事した男に頭から布袋のようなものをかぶせられ俺の身体はすっぽりとその袋に飲み込まれてしまったように思う。袋の口を閉められ、身体が浮きあがったことを感じると、俺は目を開いていても閉じていても同じような暗闇の中で、思わず瞳を固く瞑った。こんなことをされるのが藤ヶ谷じゃなくて俺で良かったと、自分の家が“藤ヶ谷”の家に仕掛けた刺客――こんな意味のない争いなんて無駄なのに――息苦しくなり意識が混濁し、俺は気を失った。
――藤ヶ谷・・・！！
「・・・やべー、遅刻だわ、これ」
宮田がちゃんと家まで起こしにきてくれないから、と並走して走る宮田に向かって俺は唇を尖らせた。いやいや、と手を振り、宮田は心底困ったような顔をする。
「俺はちゃんと起こしました！」
「どーだか、って・・・あれ、あそこに落ちているのって・・・」
「えっ、どうしたの玉！本当に間に合わないよ！？」
「いや、だってこの赤い帽子・・・ミツかガヤのどっちかのじゃない？」
何でこんなところに落ちているんだろう、と俺は手にした帽子を握りしめながら辺りを見回した。すると視界の先に変な布袋を抱えている二人組の男が目に入る。
「・・・なぁ、宮田。ミツもガヤも将来のこの街の長になる権利があるって言ってたよな」
入学するとき先生が、と俺は赤い帽子を宮田に差し出す。
「うん、それで両家の見境の無いいざこざが多いみたいなことを横尾さんが言ってた」
当人二人はお互いに仲がいいから忘れてたけど、と宮田は頷きながら帽子を受け取った。
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作者名：ほわわ
| 作成日時：2017年12月6日 0時
