struggle jointly番外編VersuSおまけ29（藤→北←玉） ページ49
struggle jointly番外編VersuSおまけ29
「――――っ、くしゅん！！」
「・・・こんな状況でよくくしゃみできるね、ガヤ」
この隙を狙う、と言わんばかりに、玉森は何とか均衡状態を抜け出そうと改めて力を込めて藤ヶ谷の番傘を押し返す。
「・・・甘いな、玉。番傘の扱いになんか慣れていないだろう」
急に藤ヶ谷がフッと力を抜いたことで、玉森は急に体制を崩し身体をよろけさせた。その瞬間、藤ヶ谷が玉森の手首を片手で抑え込む。グッと力を入れられ、玉森は思わず顔を顰めて手から番傘の柄を離した。落ちた番傘を拾おうと手を伸ばした瞬間――藤ヶ谷の番傘が玉森の首元にあてられる。玉森は腰をつき、両手をそっとあげた。
「・・・玉っ！嘘だろ・・・！？」
得意気に話していた宮田の表情が青ざめたのを見て、北山と千賀も慌てて振り返る。
「藤ヶ谷・・・！玉・・・！」
戦いが終わったことに安堵のため息を吐く北山だったが、藤ヶ谷の瞳からはまだ玉森に対する敵意の炎が宿っているのを感じて固唾を呑む。
「・・・玉、もう一度言う。今日は大人しく帰れ・・・もちろん北山を連れて行かせるような真似はさせない。今日お前が北山にしたことは・・・十歩、いや百歩・・・やっぱり一億歩くらい譲って大目に見てやるから」
「全然譲ってないよね、それ・・・」
いつも自分の使っている銃があればこんなことには、と思いながらも、負けは負けだからね、と玉森は悔しさを表情に滲ませた。そして、首を動かし、視線を北山に向ける。心配そうにこちらを向いている優しくも悩ましげなその瞳に自分は少しでも映っているのだろうか――玉森は少しだけ口元に笑みを浮かべた。
「・・・やっぱり可愛いなぁ、ミツ」
「玉、返事は？」
「・・・さっきも言ったよね。俺はミツが一緒じゃなきゃ帰らない。俺は俺の気持ちに嘘なんかつきたくない」
勝負に負けてもミツを好きな気持ちはガヤに負けてない、と玉森は藤ヶ谷に上目で鋭い視線を送る。
「・・・なら、仕方ない・・・」
首元に突きつけていた番傘を藤ヶ谷は振りかざした。
「眠ってもらって・・・他の弟組と一緒にお引き取り願おうか」
「・・・ミツ・・・」
「・・・や、やめてくれ、藤ヶ谷・・・！！」
もう決着はついてる、と思わず走り出そうとする北山を千賀がギュッと抑え込む。
「・・・ダメだよ、ミツ姫。玉は絶対に水を注すなって・・・それにニカとも約束したよね？」
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作者名：ほわわ
| 作成日時：2017年9月17日 0時
