まえあし短編集 (ページ48)

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struggle jointly番外編VersuSおまけ28（藤→北←玉）ページ48

struggle jointly番外編VersuSおまけ28

「あ、そうなんだ。うちの城では脱がないから」
　どっちにしても玉の靴がぴったり過ぎて脱げない、と二階堂は結局そのまま廊下を突き進み、襖を片っ端から開けていく。横尾は明日は一日掃除しなきゃ、と頭を抱えながら後を追いかける。
「それはそうと、急にどうしたの？トイレ？」
　案内するからこれ以上は土足で歩き回らないでくれ、と横尾はトイレの方向を指差す。
「トイレ・・・じゃない方がいいかな。水回りには行きたいけど」
「えっ・・・まさか・・・あの二人に水を差すつもりじゃ・・・」
　太輔の邪魔はさせないよ、と横尾は思わず身構える。
「だって、ミツ姫、泣いててかわいそうじゃん」
　横尾さんはそう思わないの？と二階堂に改めて聞かれ、横尾は言葉を詰まらせてしまう。確かに今の状況では決着をつけるまで藤ヶ谷と玉森は戦いを止めないのは目に見えている。二人が自分たちの北山への気持ちを賭けて戦っているのも痛いほど分かるし、そんな二人の想いが逆に北山を今は苦しめているのも感じ取れる。まして二人のどちらかが、それとも二人とも傷つくようなことがあれば――純粋な北山はそれ以上に見えない何かに傷つけられてしまうかもしれない。
　分かってるよ、と横尾は俯いて両の拳を握る。
「でも、太輔は・・・ずっとみっちゃんのことが大好きで・・・ときどき危険な発言や行動もするけど・・・本当に近くでみていてもどかしくなっちゃうくらい大切にしていて・・・」
　だから、と横尾は顔を上げた。
「みっちゃんが目の前で奪われそうになって、本音をようやく曝した太輔の気持ちを尊重してあげたい・・・！」
「あっ、お風呂場を発見！」
　人の話を聞いてないのかよ！と思わず横尾はずっこけそうになる。二階堂はマイペースに檜の湯船に歩み寄った。
「水だと可哀想だから、お湯にしますか」
「・・・本当にやるつもりなの？」
　なら仕方ない、と横尾は近くに置いてあった桶を手にする。二階堂が次に不審な動きをすれば、多少手荒になっても止めるしかない、と二階堂の一挙手一投足に注意を払う。
「・・・あれ？お湯がちょっとも入ってないや」
　掃除中だったの？と二階堂に問われ、横尾も慌てて空の湯船にかけよる。ご飯は抜きにしたけどお風呂は用意して声をかけたはずなのに、と横尾は何度も自分の目をこする。
「まさか・・・太輔！？」

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