まえあし短編集 (ページ5)

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struggle jointly 4（藤→北←玉）ページ5

struggle jointly 4

「ちょ、ちょっと二人とも何をけんかしてるんだよ！」
　落ち着いて、と部屋の端で着替えていた宮田が突然の二人の取っ組み合いに割って入る。
「「宮田、邪魔すんな！」」
　二人は揃って宮田をソファーに突き倒した。その後ももみくちゃになる戦いを続けていると――そこにもう一人駆け寄ってくる。
「なーに騒いで・・・って、ええっ！？」
　北山の目に飛び込んできたのは、宮田の上に乗っかっている藤ヶ谷と玉森の姿だった。着替え途中だった宮田のシャツとジャージは取っ組み合いの最中に脱げたらしく、ソファーの下に落ちていた。
「き、北山！？」
「ミツ・・・！？」
「あ、なんか・・・ごめん、変な時に入ってきて・・・」
　そろそろ撮影始まるからほどほどにね、と言い残し、北山はその場を立ち去ろうとする。明らかに何かを勘違いされた！と、宮田を踏みつけるようにしてソファーから飛び降りると、藤ヶ谷と玉森はそれぞれ北山の片手を掴む。
「北山、待ってくれ！」
「待って、ミツ！」
「・・・お、俺、何も見てないから！！」
　顔を真っ赤にして二人の手を振り払いその手で自分の頬を押さえると、北山は足早に控室を出て行った。藤ヶ谷と玉森は顔をゆっくりと向い合せる。
「ガヤ・・・」
「玉・・・見たか、今の北山の可愛い顔・・・！」
　見た見た！と藤ヶ谷と玉森は手を合わせて喜ぶ。なんて純粋で可愛らしいんだ、と二人はアイドルにでも遭遇したかのようにキャッキャッと飛び跳ねた。
「確かにいきなりホテルはちょっとやりすぎかな・・・」
　あれだけ純粋だと嫌われかねない、と玉は頭をポリポリと掻いた。
「だけど、玉の気持ちはよく分かった。もう恥ずかしいとか言っている場合じゃねーな」
「もう一回作戦会議のやり直ししようか」
　そうだな、と二人は頷きあうと、北山の後を追いかける。
「・・・おーい、二人とも・・・俺は放置か・・・」
　ただ押しつぶされた宮田は二人の背中に向けて手を伸ばすも、二人が振り向くことは一切なく、ガクッとその場に項垂れた。

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