まえあし短編集 (ページ37)

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struggle jointly番外編VersuSおまけ17（藤→北←玉）ページ37

struggle jointly番外編VersuSおまけ17

　やめてよ、と北山は頬が触れ合うたびに顔を赤らめ一生懸命背中を仰け反らせて何とか逃げ出そうとしている。北山に遠慮なく触れまくる玉森に、藤ヶ谷の怒りのボルテージが上がっていく。
「玉！いい加減にしろ！北山を苛めるな！！」
　番傘を持ってきてくれ、と藤ヶ谷は横尾に合図を送る。横尾は慌てて家の中に戻っていった。
「なに、羨ましいの？」
「北山に触っていいのは俺だけだ！！キスをするのも、その・・・そういうことするのも！」
　俺は北山の守護者だから、と藤ヶ谷は少しだけ距離を詰める。その発言に北山は目を丸くして藤ヶ谷を見つめた。
「・・・藤ヶ谷、それって・・・」
　なんて身勝手な、と玉森は飽きれたようにため息を吐く。
「それに悪いけど、俺とミツはもうキスを済ませたからね」
　間接キスとデコチューだけど嘘ではないもんね、と心の中で納得しながら、玉森は得意気な顔をして藤ヶ谷にニヤリと笑う。北山はびっくりしたように今度は玉森に視線を送る。
「えっ、嘘・・・いつの間に？」
　北山は唇を押さえて顔を隠すかのように玉森の胸に頭をつけた。堪らないなその反応、と玉森は嬉しそうに北山の髪の毛を撫でる。
「・・・な、なんだと・・・！？」
　藤ヶ谷は思わずよろついて片膝を地面につけた。番傘を手に戻ってきた横尾は、何事！？と藤ヶ谷の肩を支える。
　藤ヶ谷の頭の中をまるで走馬灯のように北山と過ごした日々が駆け巡る。夜な夜な北山の部屋にこっそり入っては、リップクリームでケアをしたり頭を撫でたり・・・あれ、いつでも北山に触れるチャンスたくさんあったなぁと、藤ヶ谷はハッとしたようにただただ愛おしく微笑ましく北山を見つめていたときのことを思い出し、何か熱い感情が込み上げてくるのを感じた。そんなに大切に想ってきた北山を、突然ゆるふわ現れた玉森に奪われてしまうなんて、と藤ヶ谷は思わず地面を拳で叩く。
　藤ヶ谷、と切ない瞳で視線を送る北山の顔を自分に向けさせると、北山の瞳が涙ぐんでいることに気がつき、玉森は焦ったように北山に問いかける。
「・・・なに、ミツ、俺とキスしたのがそんなにショックなの？」
「ショックって言うか・・・何かいろいろびっくりしちゃって・・・どうして俺にそんなことするの？」
「・・・ミツにははっきり言わないときっと伝わらないね」
　じゃあきちんと伝えるから、と玉森は北山の両手を包み込むようにそっと握った。

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