struggle jointly番外編VersuSおまけ13（藤→北←玉） ページ33
struggle jointly番外編VersuSおまけ13
***
「あれ、みっちゃん、部屋にいないな」
太輔もいなかったし、とおにぎりを手にした横尾は北山の部屋を後にした。ご飯は抜きといったもののよく考えれば二人とも昼も食べてなかったな、と朝食の仕込みを終えて残ったご飯をおにぎりにしていた。特に北山は空腹が酷くなると機嫌も悪くなるしね、と苦笑いをしながら横尾はキョロキョロと庭園を眺めた。すると、裏門の辺りから白い煙が上がっているのを見かける。
「えっ、まさか、火事・・・！？」
大変だ！と横尾は台所に戻り桶に水を汲みに戻った。
***
「・・・お待たせ、北山」
ちょっと言い方が固いかな、と藤ヶ谷は北山の部屋の前でコホンと咳ばらいをして、意を決したように襖に手をかけた。
「・・・お待たせ、北山」
中に入るとそこに待っているはずの北山の姿はなく、藤ヶ谷は肩透かしを食らった気分になり目を丸くした。お手洗いに行っているのか、待ちくたびれてどこかへ出かけてしまったのか・・・とはいえ外には出られないはずと藤ヶ谷は北山の部屋の中に足を踏み入れる。北山の布団に手をあててみると、まだほんのり温かい。ということはやはり北山は俺を布団で待っていてくれたということか、と藤ヶ谷は顔を赤らめた。早く北山を見つけて一緒に――
「・・・まさか、北山。外に出たんじゃ・・・！？」
庭園に続く襖が開いていることに気がつき、藤ヶ谷は慌てて後を追うかのように裏門に向かって走った。
***
「大変だ、いったんここからで届くかな・・・！？」
外の状況が分からないことを懸念して、桶に水を汲んで走ってきた横尾は、壁の向こう側の煙に向かって思いきり高く桶を振り上げた。中から飛び出した水が壁の向こう側へと落ちていく。
「うわっ、冷たっ！」
「・・・今の声、弟組の玉・・・！？」
何でこんなところに、と横尾は慌てて外へ出るために裏門へ向かう。
***
「えっ、何、今の水・・・！？」
空から突然滝のように振ってきた水を浴びて、玉森と北山はあっという間にびしょ濡れになってしまった。
「玉！ミツ姫！！大丈夫！？」
「局地的豪雨か・・・！？俺の服は防水だからいいけど・・・ミツ！！」
「んー・・・冷たい・・・せっかくいい気持ちで寝てたのに・・・」
「・・・せっかく気持ちよく寝かせてたのに・・・ミツが起きちゃった」
玉森は突然の出来事に、忌々しそうに奥歯をギリッと噛み締めた。
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作者名：ほわわ
| 作成日時：2017年9月17日 0時
