struggle jointly番外編VersuSおまけ12（藤→北←玉） ページ32
struggle jointly番外編VersuSおまけ12
目の前で無邪気に笑う北山を見て、玉森は少し切なそうな表情を浮かべる。本当は無理矢理とかではなく、きちんと気持ちを伝えてOKをしてくれるのであれば、城へ連れて帰ってそのまま結ばれたいのだけれど、と思う反面、屋敷の中に閉じ込められてしまう以上は、この瞬間を逃すわけにはいかない、と玉森は拳を固く握りしめる。
『そういえばミツ姫って、お腹いっぱいになるとすぐ眠っちゃうって情報あったよね』
『もしかしたら、もう今も・・・』
四人の視線が一斉に北山に向けられる。
「あーお腹いっぱいになった！ありがとう、玉、みんな・・・」
自分のお腹を抑えながら微笑む北山は、ふぁーっと大きくあくびをした。
「・・・ミツ、眠くなった？」
うん、と目を擦りながら、北山は玉森を涙目で見上げる。トロン、と今にも瞼を閉じてしまいそうな無防備な表情に玉森はドキッとした。可愛らしさへのトキメキと思いがけないチャンスに武者震いをしてしまう。
「・・・たまにはふかふかのベッドとかで寝てみたくない？」
「んー・・・いいかも・・・」
「・・・俺たちの城に遊びにおいでよ」
「んー・・・いいかも・・・むにゃ」
そっと玉森が北山を抱きしめて幼い子供をあやすかのようにポンポンと背中を叩くと、北山は次第にうとうととしながら玉森に寄りかかった。北山からは何となく肉の焼けた香ばしい匂いがして、ムードねぇな、と玉森はクスッと吹き出してしまう。それでも恋焦がれた愛おしい北山が自分の腕にいることに口元は緩みっぱなしになってしまう。
「・・・よし、全員撤収準備をしよう」
了解、と頷きあうと、三人はバーベキュー台などの撤収準備に入ろうとする。
「玉、できるだけ壁の方に寄ってて」
急いで片付けるから、と宮田のその言葉に今度は玉森が頷き、北山を起こさないようにそっと壁側に移動した。北山からは立ったままだというのにスヤスヤという寝息が聞こえてくる。それだけ安心して身を委ねてくれているのかな、と玉森はそっと北山の前髪をかきあげる。
「俺はいつでも外出させてあげられるし、いつでもお腹いっぱい食べさせてあげる」
だから、と玉森は北山のおでこに静かに唇を寄せた。
「・・・必ず幸せにするから・・・俺の元へおいで、ミツ・・・！！」
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作者名：ほわわ
| 作成日時：2017年9月17日 0時
