まえあし短編集 (ページ27)

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struggle jointly番外編VersuSおまけ7（藤→北←玉）ページ27

struggle jointly番外編VersuSおまけ7

「身体は隅々まで洗った。歯もきっちり磨いた。服も下着も勝負ものにしたし・・・」
　準備はできた、と藤ヶ谷は鏡に向かって頷く。何度も自分の顔の角度を変えて見直し、襟を正してみる。柄にもなく緊張した面持ちをする自分に喝を入れるように一度両手で自分の頬を軽く叩く。
「ついに・・・俺は今日北山と・・・！」

“・・・待ちくたびれたぁ、藤ヶ谷”
　済まない、と布団をかけて寝っ転がっている北山を覗き込むようにしゃがむと、北山の腕がスッと伸びて首の後ろにまわされる。そのまま引き寄せられるように北山の布団の上に倒れこむ。
「待たせてごめん・・・もう眠くなっちゃった？」
“それもあるけど・・・藤ヶ谷と結ばれる日が来るのずっと待ってたから・・・”
　北山は顔を赤らめながら、チュッと藤ヶ谷の頬にキスをする。
“待ちくたびれて・・・着物、もう脱いでるから・・・”
　早く来て、と目を閉じて唇を差し出してくる北山に、藤ヶ谷は吸い寄せられるように唇同士をきつく重ね合わせた。そっと布団の中に手を伸ばすと、中がとても暖かい。そして、触れる北山の素肌はもっと温かく滑らかなシルクのような感触だった。
“やん、変なところ触らないで・・・”
「・・・いいのか、やめて」
“・・・ごめん、もっと・・・して・・・あっ、藤ヶ谷ぁ・・・！！”
　全身を弄るように手を走らせると、北山から次第に甘ったるい声が漏れる。
「愛してる、北山・・・」
　その言葉に瞳を潤ませる北山に、藤ヶ谷は何度も優しくキスをすると、緊張が解れていくかのように触れる都度、柔らかな笑みが零れていく。
“嬉しい・・・俺、ずっと待ってたよ・・・！”
　その言葉に我慢ができなくなり、藤ヶ谷は着物を脱ぎ捨てて布団の中に潜り込む。全身のあちこちを北山と繋ぎ、身体も心も結ばれて――

「・・・やばっ！」
　鼻の中を伝う生暖かい血にびっくりしたように藤ヶ谷はタオルに顔を埋めた。服が汚れてるかもと、改めて鏡の中の自分を見直す。
「もう一回全部確認するか・・・！」
　段取りも含めて、と藤ヶ谷は再度浴室の中に戻っていった。

「・・・待ちくたびれたぁ、藤ヶ谷」
　いつになったら部屋に来るんだろう、と北山はふてくされた様子で布団の上で横になっていた。

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