まえあし短編集 (ページ25)

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struggle jointly番外編VersuSおまけ5（藤→北←玉）ページ25

struggle jointly番外編VersuSおまけ5

「とにかくみっちゃん。まずは自分が弟組に狙われていることを自覚して、絶対に勝手に家を出たりしないように！」
「・・・何で俺、弟組に狙われてるんだろう」
　マジか、と横尾は頭を抱える。玉森がキスしようとした時点で分かりそうなものなのに、と北山の度を越えた純粋さというか鈍感さに困り果ててしまう。
「みっちゃん、返事は？」
「うー・・・でも外に出られないのやだ」
「外に出たいときは俺か太輔がついていくから。とにかく一人で出かけるのは当面やめて欲しい」
「そうだぞ、北山。俺が四六時中傍にいるから」
「うん、太輔、それいつも通り危険な発言だから」
　いいね、と横尾に頭をポンと叩かれて、北山はシュンとして俯いた。
「・・・約束します・・・」
「いい子だね、みっちゃん」
　いい子いい子、と隣に座る藤ヶ谷が北山の頭を撫でる。その手を引き留めて、横尾は口元だけを緩ませた。
「・・・さて、太輔・・・」
「・・・はい」
「よくも俺を弟組に売ろうとしてくれたね・・・！！」
　どういうこと、と横尾さんはグーにした手にハアッと息をかけてみせる。
「それはその・・・北山を守らないといけないと思って」
「みっちゃんが心配なのは分かる。俺も心配だったし。でもさ、俺はどうなっても良かったのかなー」
「そんなことはないですが・・・北山を守らないといけないと思って」
　さっきも聞いたよ、と横尾は藤ヶ谷をコンと叩く。痛っ、と藤ヶ谷は顔を顰めて自分で頭を撫でる。
「・・・まぁ言いたいことはまだたくさんあるけど・・・とにかく二人とも今日はご飯抜きだから」
「「えーっ！！」」
　横尾の一言に、藤ヶ谷と北山は声を揃えて不服そうな顔をする。
「というか今から明日の朝ごはんの仕込みしないといけないし」
　ちゃんと反省してね、と横尾は足早に部屋を後にした。がっくりと肩を落とす藤ヶ谷の頭にそっと北山が触れて優しく撫でる。北山？と藤ヶ谷は驚いたように顔を上げた。
「ごめん、俺のせいで・・・」
「そんなことはない・・・俺がお前から目を離したから」
　そう言うと藤ヶ谷はそっと北山の頬に触れる。しばしの沈黙に見つめあうと、藤ヶ谷は北山の瞳が少しだけ潤んでいることに気がつく。俺を心配して涙を溜めてくれているなんて、と藤ヶ谷は少しだけ顔の距離を近づける。先ほどは玉森に邪魔されたけれど、と藤ヶ谷は真剣な瞳で北山を見つめる。

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