まえあし短編集 (ページ24)

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struggle jointly番外編VersuSおまけ4（藤→北←玉）ページ24

struggle jointly番外編VersuSおまけ4

「待て、太輔。それはそれで危険な発言な気がする」
　リップクリームの逸話は後で追及するとして、未遂みたいだから、と横尾はしゃがみ込み藤ヶ谷の背中をポンポンと叩く。
「うん、キスされそうになったけど逃げてきた」
　だからキスはしてないよ、と北山は頬をポリポリとかいてみせる。
「本当か・・・北山の唇はまだ汚されていないのか・・・！」
　良かった、と喜びを噛みしめるように、両手でガッツポーズをしながら藤ヶ谷は天を仰いだ。それにしてもキスをされそうになっただけでこんなにも儚い姿を見せるなんて、何て純粋で可愛いんだ、と藤ヶ谷はスッと立ち上がり北山の両手を握った。
「北山、お前の純潔は俺が守るから」
「う、うーん？よく分からないけど、ありがとう」
　藤ヶ谷、と戸惑いながらも、北山は藤ヶ谷にニコッと微笑む。藤ヶ谷は思わず北山をギュッと抱きしめた。
「ということで、とにかく、もう外には出さない」
「えっ、えー！？何で、俺、何も悪いことしてないじゃん・・・！」
「お前に悪さをしようとする人間がいるからダメだ！」
　今すぐ壁を高くして常に警備体制を引こう！と藤ヶ谷は急いで周りの使用人に指示を飛ばす。
「・・・寝てる間も心配だ・・・今日から同じ布団で寝よう、北山！」
「えっ・・・」
「だから太輔！さっきから発言が危ないってば！！」
　それからというもの藤ヶ谷は結局北山に寝室に入れてはもらえなかったが(ちなみにリップクリームの件で北山は部屋に鍵をかけるようになった)、余計に北山の周りに監視体制を引き、家の周りの壁を高くしていった。時折、壁に落書きをされたり、弟組がなぜか家の前で焼肉パーティをしたりするので追い払ったりしながら、弟組が北山に接触しないように戦い続けた――今日、北山が勝手に家を飛び出してしまうまでは。
「・・・はい、二人とも、正座で座ってくださいー」
　かなり怒った表情で仁王立ちをする横尾の前に、藤ヶ谷と北山は身を寄せ合うようにして正座して座っていた。北山の服装は半裸状態になっていたが、戻ってきて早々横尾が着付け直していた。
「まずはみっちゃん・・・あれだけ注意したのに家を勝手に飛び出しちゃダメでしょ」
「・・・よこーさん、本当にごめんなさい」
「・・・渉、北山を叱らないでくれ。叱るなら俺を・・・！」
「いや、太輔は後でもっとガチ説教だから」
　えっ、と藤ヶ谷は横尾の発言に目を丸くした。

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