まえあし短編集 (ページ12)

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struggle jointly 11（藤→北←玉）ページ12

struggle jointly 11

“や、やだぁ、二人とも見ないで・・・”
　浴衣の帯を奪うと北山のおみ足が露わになる。それ以上、肌蹴けないようにと一生懸命浴衣を抑えている。二人して優しく北山の手を取り、そっと肩から脱がせると、湯上りのほんのりピンクに染まった肌が目に飛び込んでくる。そして、真っ赤に染め上げた頬に、うるんだ瞳――
“・・・二人とも、お願い、優しくしてね・・・”

「くぅぁー、堪らないな、それ」
　北山可愛い、と藤ヶ谷は顔をにやつかせる。やっぱり俺たちがリードしてあげないと、と玉森も口元に笑みを浮かべた。
「でもさ、意外にそこでミツの大人の感じが出てきたりとか・・・」

“二人とも、俺のこと抱きたいの？”
　そう言うと自分から帯を解き、少しずつ肌を見せていく北山。二人の喉がコクン、と唾をのむ。その様子を見て、北山は浴衣の裾をまくり、足を絡ませて手を差し出す。二人に向けて妖艶に微笑み、まるで誘うような濡れた瞳――
“どっちが先でもいいよ・・・俺を満足させてよね”

「ミツ！俺からお願いします！！」
「何言ってんだ、俺が先だ！！」
　俺だよ！と二人はおでこをくっつけあっていがみ合うが、いい加減そのことに意味がないことをようやく分かったようで、すぐに元の体勢に戻った。いよいよ妄想の中でまで北山の取り合いをするようになってしまった、と自分たちが末期症状まで来ているのを実感する。
「いや・・・とりあえずやばいな、それはそれで」
「・・・って、ガヤ！鼻血出てる！！」
　玉森はびっくりして藤ヶ谷の鼻にティッシュを宛がった。ちょっと興奮しすぎた、と藤ヶ谷は自分で鼻を摘まんで上を向く。
「ということで早く、とにかく早くメンバー温泉旅行を計画しよう！」
　もう待ちきれないとでも言わんばかりに玉森は一斉にメンバーにスケジュール確認のLINEを送り始める。
「よしそれまでに俺は身体を鍛えておくから」
「うん・・・って、だからそれはもういいってば！」

＊＊＊

「・・・何、あれ」
　部屋を出た北山はテーブルの上にあった紙のことを思い出し、表情を強張らせた。
　その紙には“北山の身体に直接教えちゃうよ作戦”というタイトルに、全然中身が伝わってこない作戦内容と、ホテルとだけ書かれていて――
「・・・俺は何を教わるの？」
　何かどうしよう、と北山は玉森からのLINEを確認して、スマホをギュッと握りしめた――

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