アケボシ5 (ページ4)

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『どう？寂しくない？』

「まだ1日目だし…あんまり実感が…」

『あはは、それもそうだねー。』

夜20時を過ぎた頃、倫也さんからの電話。

ソファに座ってクッションを抱えながら、右耳の愛しい声に集中する。

「そっちはどうですか？」

『んー、知ってるスタッフさんとか共演者も多いし、結構楽しいよ。』

「そうなんですね。」

『こっちのロケでガッツリ撮って、そっちに戻ってからもう少し撮影して終わりって予定だから…ゆっくりできるのはまだまだ先になりそうだけどね。』

「ハードですね…映画でしたっけ？」

『うん。早速のお留守番でごめんね？』

「全然大丈夫です！明日も早いんですか？」

『ありがとー。明日はねー、5時起きだね。』

「えっ、もう！早く寝てくださいよ！！」

『んー、でも寝る前にAちゃんが声聞きたいかなーって。』

揶揄うような言葉に、少しだけ顔が赤くなった。

「…それは、そう、ですけどっ…」

『あはは、素直。俺も声聞きたかったし、ね。』

少しだけ、囁くように低くなった声色に愛しさが込み上げる。

「また、時間できたら話したいです。」

『うん、Aちゃんも、連絡して。』

名残惜しいけど、まだ先が長いから今日は我慢。

「じゃあ、明日も頑張ってくださいね。」

『ん、ありがとう。Aちゃんもね…おやすみ。』

「はぁい…おやすみなさい。」

しばらく間が空いて、私の方から通話を切った。

きっと切らなければ倫也さんは付き合ってくれるけれど、そこに甘えちゃうともっと、ってわがままになってしまう気がして。

お風呂に入ろうとして、携帯が短く震えた。

メッセージは倫也さんからで、おやすみ、と、ベッドに突っ伏した写真。

可愛い、と呟いてから、お疲れ様です、おやすみなさいと返事をした。

すぐに既読がついたけれど、それ以上返信はなくて。

寂しい反面、しっかり眠れているといいな、と少し安心したような気持ちになった。

シャワーを浴びて、大好きな匂いのバスタオルに包まる。

適当に髪を乾かすと直してくれる彼もいないので、しっかりと乾かしてから、水槽とケージの彼におやすみなさい、と声をかけた。