検索窓
今日:12 hit、昨日:4 hit、合計:9,191 hit

203 ページ3

「戸締りちゃんとしてね。」


「大丈夫ですよ。」


「…やっぱり心配。」


「子供じゃないんですから…ほら、マネージャーさん待たせてるんですよね?」


玄関先で、キャリーケースを持った倫也さんをお見送り。


今度の撮影は地方ロケらしく、2週間程1人でお留守番することになった。


「…じゃあ、行ってくるね。」


言いながら、唇に触れるだけのキス。


「…ん、いってらっしゃい。」


パタン、とドアが閉まり、足音が離れるのを確認して鍵をかけた。


同棲を始めてから長期間を彼の家で、1人で過ごすのは初めてで。


何度も寝泊まりはしているものの、まだ自宅というにはむず痒いような感じがする。


2人で食べた朝食の後片付けを済ませて、タバコを片手にベランダに立った。


日中は暖かいのに、夕方には冷え込むようになってきて、秋なんてすぐに終わってしまう。


明日からはいつも通り会社に行って、いつもと違って彼がいないこの部屋に帰ってくる。


もう大人だし、寂しいなんてやたら滅多に口にするものではないとわかってはいるのだけれど。


でもやっぱり、寂しくなるんだろうな。



メッセージを送りかけて、思いとどまって、を繰り返していると、倫也さんの方からメッセージが。



『夜には電話するからね。』



全部お見通しですよ、とも言いたげな文面。


でも、その通りで。


素直に、待ってますね、と返信をして部屋に戻った。



彼の匂いや雰囲気で満たされた、ひとりぼっちの空間。


せっかくのお休み、もう一眠りするのも贅沢よね、と抜け殻のままのベッドに潜り込んだ。


さすがに冷たくなってはいるけれど、普段より濃い残り香を思いきり吸い込んで、満たされる。


包まれているような、錯覚とはわかりきったそれさえも愛おしくて。


ぎゅう、と毛布を抱きしめているうちに眠ってしまった。

204→←202



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (31 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
169人がお気に入り
設定タグ:中村倫也 , 恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

marisuke(プロフ) - 1話から一気に読んでしまいました!!この倫也さんの雰囲気大好きです(^_^)この続きが気になります(>_<)また気が向いたら更新してほしいです。 (2021年6月17日 8時) (レス) id: a8375f91b2 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:高木 | 作成日時:2021年3月29日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。