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1泊2日の旅行を終えてから、しばらくは慌ただしい日々が続いた。



相変わらず仕事で忙しい倫也さんと、残りの連休と仕事終わりの時間をフルで使って引越しの準備を進める私。



家財道具のほとんどは処分して、必要なものだけを倫也さんの家に運んだ。


退去手続きに住所変更、諸々全てを終えて落ち着いた頃にはすっかり秋になっていた。



もう完全に慣れた玄関を開けると、すでに倫也さんが帰ってきていた。




「おかえりー。」



「ただいまです。今日早かったんですね?」



「うん。Aちゃんの方は?」


「今日鍵返して全部終わりました!」


「おぉ。じゃあ今日は飲んじゃおっか。」


引越し祝いだーなんて言いながら、倫也さんは良いお酒を出してくれた。




「やっと落ち着くね。」


ソファを背もたれにして、並んでグラスを合わせた。


「改めて、今日からお世話になります。」


ぺこりと頭を下げると、こちらこそと倫也さんも会釈を返した。


「明日は早いんですか?」


「んー、お昼頃かなぁ。Aちゃんは?」


「明日は土曜だからお休みです。」


「あぁ、そっか。」


他愛のない話と、カラリと音を立てるグラスの氷。



「…今更なんですけど、すごいですよね。」


「何が?」


「半年前まで全然他人だったのになー、って。」


「あー、そういうことね…」



あっという間に色々進んで、今はひとつ屋根の下。


半年前の私には想像もつかないような環境が、今は当たり前の日常になっている。


「まだ半年だけどさ、」


倫也さんは優しい口調で、少し細められた目が私を見つめた。



「この先1年経っても、5年、10年経っても…なんとなくAちゃんとなら一緒にいられる気がしてる。」


言いながら髪に添えられた手をとって、頬に当てる。


「…私も、倫也さんと…一緒にいたい、なって…」


言いかけて恥ずかしさが勝って、ほんのり曖昧に発した言葉も倫也さんにはしっかり聞こえていたようで。



「…可愛い、」


耳元で聞こえた言葉に反応する前に両手で顔を包み込まれて、柔らかい唇が額から目蓋、頬から鼻先を辿る。



「、ともやさ…まだお酒が…」


「あとでいいから、」


氷が溶ける音の隣でゆっくりとソファに沈みながら、ただただ甘い夜が更けていった。

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marisuke(プロフ) - 1話から一気に読んでしまいました!!この倫也さんの雰囲気大好きです(^_^)この続きが気になります(>_<)また気が向いたら更新してほしいです。 (2021年6月17日 8時) (レス) id: a8375f91b2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:高木 | 作成日時:2021年3月29日 0時

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