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朝食とお土産の買い物を済ませて、チェックアウトの時間より早めに旅館を出た。
「今日はどこか寄るんですか?」
「んー、また行こうって約束したとこ。」
「水族館?」
「そう。ちょうど帰りのルート沿いだから。」
初めてのデートで行った水族館。
「…アシカのショー…!」
「そうそう、あの時は見れなかったからねー。」
本当に些細なことなのに、倫也さんはちゃんと覚えてくれている。
何度か休憩を挟みつつ水族館についたのはお昼頃だった。
「あ、今からなら13時のアシカショーに間に合いますよ!」
「あはは、どんだけアシカ好きなのよ。」
「だって、見たかったんですもん。」
「ふふ、そうだね。行こうか。」
そっと私の右手をとって歩き出した彼は、やっぱり初デートの時と変わらずスマートで。
ちょうど夏休み真っ只中の今日は、水族館も混んでいた。
それでも繋いだ手は離れなくて、ショーの間も館内を見て回る間もそのままだった。
「アシカ可愛かったですねー。」
「端っこの子がちょっと鈍臭くて可愛かったね。」
今回は館内をサクッと見て回るだけにして、そのまま倫也さんのお気に入りだというカフェに入った。
「また来れて嬉しかったです。」
「喜んでくれて良かった。1泊2日じゃ、あっという間だったね。」
「運転、疲れてませんか?」
「んー、そんなに。あとは帰るだけだし。」
「…ふふっ。」
「ん?どうしたの?」
思わず笑みが溢れた私に、倫也さんは不思議そうな顔をした。
「…帰っても、ずっと倫也さんと一緒なんだなーって思うと嬉しくて。」
言いながら恥ずかしくなって目をそらすと、視界の端っこで倫也さんも窓の外を眺めているのが見えた。
「…今すっごい抱きしめたい。」
ボソッと聞こえた言葉にどう反応していいかわからなくて、そのまま2人で窓の外を見つめた。
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marisuke(プロフ) - 1話から一気に読んでしまいました!!この倫也さんの雰囲気大好きです(^_^)この続きが気になります(>_<)また気が向いたら更新してほしいです。 (2021年6月17日 8時) (レス) id: a8375f91b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:高木 | 作成日時:2021年3月29日 0時