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タクシーに乗り込むと、倫也さんは聞き覚えのない行き先を告げた。
「あの…?」
「あぁ…俺の家なんだけど…やっぱりAちゃんの家にしようか?」
ごめん、急すぎたよね。と言う彼に
「嬉しいんですけど、お泊まりセットが…」
コンビニで下着だけ買えばいい、というわけにも…と言い淀んだ。
「…確かに。あ、じゃあ…すみません運転手さん、行き先を…」
倫也さんは私の家の住所を告げた。
「着替えと必要な物だけ取って、俺の家ならいい?」
どうしても自宅に呼びたいらしい彼は、食い下がった。
それなら…と了承すると、嬉しそうに笑った。
しばらく走らせて、自宅に着くと
「このまま待ってるから、取っておいで。ゆっくりでいいからね。」
と送り出され、1人で部屋に向かった。
明日着る服と…パジャマは借りたらいいか。
洗顔とか歯ブラシはコンビニで買えばいいし…
あ、アレは持って行かないと…
5分程で手早く荷物を纏めて、早足でタクシーに戻った。
「お待たせしてすみません。」
運転手さんと倫也さんにそれぞれ声をかけると、倫也さんは改めて住所を告げた。
「その辺にコンビニがあるので、そこでお願いします。」
伝え終えると、座席に深くもたれ込み私の手を握った。
運転手さんには見えていないかもしれないけど、少し恥ずかしくて窓の外を見つめた。
5分程走った所で、タクシーが停まった。
財布を取り出そうとすると、倫也さんはカードで済ませてしまった。
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高木(プロフ) - emiさん» 素敵なお言葉をありがとうございます。まだまだ書きたい話があるので、まだまだお話は続くと思います。話数の割に展開が緩やかですが、気長に見守っていただけると幸いです。今後とも宜しくお願い致します! (2020年6月2日 6時) (レス) id: 34107c5216 (このIDを非表示/違反報告)
emi(プロフ) - すごく良かったです。一気に読んでしまいました。水族館の帰りの告白からのところ、好きでした。あと、喫茶店で、主人公の本音が溢れてしまうところ泣けました。どんどん読み進めてしまって、もったいないことしたかも。。。って少し後悔。でも、我慢できなかった〜。 (2020年6月2日 4時) (レス) id: ce60033505 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:高木 | 作成日時:2020年5月31日 9時