元気ない ページ17
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バイトのない休日。
課題があるわけでもないし、
試験が迫ってるわけでもないし、
こんな日こそ本当に何もすることがない。
んー…
掃除でもするか。
最近ちゃんと部屋綺麗にしてないし、
いつ誰がきても大丈夫なように部屋掃除しよう
…誰が来るわけでもないけど。
断捨離とはこのことや!ってくらいに
実家からもってきたけど使ってないものとか、
ずっと眠ってた服とかコスメとか
一気にゴミ袋に放り込んで、
そしたら、大きくなったゴミ袋が一瞬で足の踏み場をなくす。
しょうがない、1回捨てるか
ゴミ袋3つ、両手にもって
手の力が限界になる前に急いで玄関を出た。
そしたら見えた金色の髪の毛。
金色になったせいで少し分かりにくかったけど、
でもあれは間違いなく吉野さんだ
久しぶりに見たなあ、
忙しいのかな、最近。
『…吉野さん!こんにちは』
北人「…あ、Aちゃん?」
挨拶くらい…いいよね、しても
そう思って声掛けたけど、振り返った吉野さんは何だか疲れたような顔をしていた
『あ…お仕事、頑張ってください』
北人「ありがとう」
急いでいるのか、吉野さんはすぐに歩き出した。
なんであんなに、元気なさそうなんだろう。
家に戻った私は、どうしてもそれが気になって気になって
続きの掃除に手をつけることが出来なかった
スマホには相変わらず“吉野北人”の連絡先
まだやりとりは1回もしたことがない
私みたいな一般人なんかが連絡なんてしたらだめだってずっと思ってた
だけど、
…送るだけならいいかな
だって、心配なんだもん
送るだけ、送るだけだから
吉野さん、こんにちは。Aです
いきなりごめんなさい。気のせいかもですが、今日元気ないように見えて…大丈夫ですか?
送っちゃった。
こんなことしても、意味無いかもしれないけど
でも、何もしないでいられなかった。
返信がないかどうか、数分おきに何度も確認しても、新着メッセージは何もない
仕事、忙しいに決まってる。
そう言い聞かせるけど、
確認する度に、ちょっとへこんでる私がいた。
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作者名:はるの | 作成日時:2020年10月16日 11時