消化 ページ16
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連絡先交換事件から、1週間。
交換したのはいいものの、そこから何も音沙汰なく時が過ぎていた。
最近は、朝やバイト帰りに見かけることもないし…
…いやいや、何を考えてるんだ
音沙汰なんて、なくて当たり前
だって、芸能人なんだよ
そうそう、吉野さんはただのご近所さんじゃない、芸能人。
でも、音沙汰ないせいで
やっぱりリアルすぎる夢を見ていたんじゃないかって
何度も何度もスマホを確認してしまう
けど、何度見ても、ちゃんとそこには吉野北人と書いてある。
夢じゃない…
リアルな夢ではない…
来実「A〜」
『あっ。くるちゃん』
来実「今日一緒に食べよ」
『うん。あ、ここ座る?』
来実「ありがと」
広場の隅っこ、今日はくるちゃんが来てくれた。
考え事してる変な顔見られてないかな、大丈夫かなって気にしてたら、
くるちゃんが顔を覗き込んできて、
来実「何かあったの?」
『えっ 何かって…何?』
来実「いや、何でもないならいいけど」
『どっか、変だった?』
来実「何か考え事かなーって」
くるちゃん、すごいや。
なんでそんなこと分かるの?
でも、くるちゃんでも、
吉野さんのことは言わない方がいいよね
だって、芸能人だし
普通の男の人ならとっくのとうに言ってると思うけど、
家とかそういうのバレちゃうのもきっと良くないよね。
『考え事は、してるかな』
来実「おっ なになに好きな人?」
『そういう話じゃないよ』
来実「なーんだ、つまんないの」
そんな興味なくさなくってもいいじゃん。
…でも、くるちゃんにどうせ話せないことだし、いっか。
いっつもみたいに、自分の中で消化して、なかったことにしよう。
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作者名:はるの | 作成日時:2020年10月16日 11時