正気 ページ44
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あれから、嘘みたいに一瞬で寝ちゃった北人くん。
私は急いであの家から飛び出した。
あんな雰囲気にして私をドキドキさせて、そのまま寝ちゃったんだよ?
なんて罪深い…
本当に私に会ってなかったのが寂しかったの?
だから、私を呼んだの?
…何が本当で、何が嘘か分からない
お酒って、怖いなぁ
自分の家に着いても、しばらく数分前の出来事が頭から離れず
でも、ふと目に入った
私の横に転がっていたスマホの画面が、私を正気に戻らせる
川村壱馬新着メッセージ
…あ!
着きましたの連絡してない!
開くと、“無事帰れた?”のメッセージ
こんな遅くまで何してたのってなっちゃうよ…
“北人くん無事に部屋で眠ってます!”
急いでそう送ると、
既読は送った瞬間についた。
川村壱馬そっか、Aちゃんは?
私も家に帰りました
川村壱馬そっか、なら良かった。安心
画面、開きっぱなしにして待ってたのかな
相当心配してたのかな
そうだとすると、申し訳ないことしちゃったな
そりゃあ、自分のメンバーのこと心配だよね。
無事に帰れたか心配だから連絡してって
…私の事だったり、しないかな
って、何考えてるんだろ
そんなわけないのに
川村壱馬俺が帰れるか心配してたんは、Aちゃんの方
通知音の鳴る方向に目を落とすと、開きっぱなしにしていた画面
そのメッセージにすぐ既読をつけてしまった。
さっきまで私が期待しちゃってたこと
壱馬くんには私の心の声が聞こえてるんですか…?
なんて返事をしていいか困って、その場に固まってしまう。
また、女の子扱いされた…?
ていうか私も私だよ、変な期待なんかして
ほんと、どうしちゃったんだろ。
結局、正気に戻れてない私。
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作者名:はるの | 作成日時:2020年10月16日 11時