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兄の運転する車の中でぼーっと外を眺めてた。
もう、私が転校すること知ったかな?みんな。
兄「………お前さ、本当に良かったの?」
『何が?』
兄「いや、無理に俺の転勤に着いてこなくても良かったんだぞ?」
そう。
あのとき兄の口から出たのは転勤の話。
転勤先は新潟で、そこにはちょうど祖父母がいるから衣食住はなんとかなる。
私がどこに行くかはみんなに知られないように先生には口止めしてきたし、スマホも電話番号もアドレスも全部変えた。
これで、本当にみんなの前から消えたことになる。
『・・・いいんだよ。高校生が一人暮らしって何かと変な目で見られると思うし。』
兄「そうか?・・・それはそうとお前、ちゃんと挨拶してきたのか?」
『当たり前じゃん。先生に何も言わずにいなくなれないでしょ。』
兄「そうじゃなくて。いつも一緒にいる友達がいたろ?ンダホとかザカオとか。」
『っ・・・、うん。大丈夫。』
短い言葉で嘘をついた。
心配かけたくないからっていうのと、
取り繕うように何か言い始めると、きっと止まらなくなるから。
今の状況、非現実的だなって思う。
友達のために転校するって、普通に考えるとあり得ないんじゃないかな?
でも、私にとってはこれが普通なんだよ。
みんながいたから、つらいことも頑張れた。
笑っていられた。
両親が死んだときも、立ち直れた。
みんながいなかったら、今の私はいない。
大切だから。大好きだから。
守りたい。傷ついてほしくない・・・!
兄「・・・・・お前、相変わらず嘘つくの下手だよな。」
『は・・・?嘘ついてないし。』
兄「まぁ、理由は聞かない。めんどいし。」
『はぁ・・・兄ちゃんのそういうところも相変わらず。』
兄「でも。」
『?』
兄「ダチは、大事にしろよ。」
わかってるよ。
だから私は、今ここにいるんじゃんか。
Q.なぜ新潟?
A.作者の地元です。
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作者名:リィオ | 作成日時:2018年5月1日 1時