【Fischer's】会いたい (ページ13)

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シルクside

Aがいなくなってから1週間が経った。

どうにかしてAの居場所を突き止めようとメンバー全員で情報集めてみたけど全然有力なものはなくて。

訳が分からないまま時間だけが過ぎていった。

メンバー1人欠けるだけでこんなに違うんだな。

特にンダホとザカオは1番つらそうだった。
小さい頃からずっと一緒にいたんだから仕方ないと思う。

それから、モトキ。
あいつもAがいなくなってから、ずっとぼーっとしてて覇気がない。

こんなモトキを見るのは初めてだった。

A。
なんで黙っていなくなった？

今の俺らの状態、見せてやりてぇ。

お前がいないだけで俺らこんなに違うんだよ。
ぽっかり穴が空いたみたいに、なんか物足りない。

せめて、いなくなった理由だけでも知りたい。
じゃなきゃ、全員気がすまない。

考えろ、考えろ。
あいつがいなくなる前に何かおかしなことはなかったか？

………待てよ。
あったじゃん。

今までAの居場所を探すことだけに躍起になっていたから、忘れてた。

あいつがいなくなる前にあったおかしなこと。

柳田〈たまには私と一緒にご飯食べない？〉

《……わかった。行こう？柳田さん。》

同じクラスの柳田と昼飯を一緒に食べてた。

柳田はAが苦手なタイプの女子であまり話したことはないって言ってた。

なのにあのときは向こうがいきなり声をかけてきた。

借りてもいい？なんて俺に振られたから、俺らとばっかりいるよりそれがAの為かなって思って行ってくれば？って言ったんだ。

もし

もしあの時に

柳田と何かあったんだとしたら？

いてもたってもいられず、モトキに電話をかけた。

明日学校で柳田を問い詰めよう。

2人で話し合ってそう決めた。

あーもう、早く明日になれ。
早く、早く。

真実が知りたい。

それがAの居場所に繋がってると信じて。