先輩は教祖らしい 壱 【童磨】

３ ページ5

.



ちょっと不健康そうな青白い肌


よく分からないけどキラキラと光って見える瞳


八の字に垂れた眉



…笑ってる？



笑ってるのかちょっと読み取るのが難しい笑顔



この人って……



名前聞いたことある



3年の童磨先輩 だっけ



みんなイケメンって言ってた確か



直接聞いたわけじゃないけど、ほら、クラスの女子が…



まあ確かにイケメン。



直視できないような整った顔。もう直視したけど



でもそういえば善逸が言ってたけど、一部ではなに考えてるか分からないって言われてるんだっけ


それにも関わらず人気があるのは、やっぱり顔がいいからか



納得



「おーい！大丈夫かい？聞こえてる？」

『えっ、あっ、はい』

「きみも、この本を？」




まんまるの大きな目をキュルキュルさせる先輩



その瞳に吸い込まれてしまいそうだし、あともう一つ、善逸が言っていた言葉が思い出せそうで出せない



わりと噂、あるんだよ
人気あるから。だから噂がたつんだよ



うん、こんな陽キャみたいな人と関わるのはやめよう



変に繋がりを持ってしまったら大変
私の陰キャ人生が…




『あの、この本、どうぞ。借りてください』

「え？」

『私、急ぎじゃないので。先輩が先に』



童磨先輩に本を渡す


ハテナがたくさん浮かんでいる様子がうかがえる


目の前に本があるというのに、先輩は受け取ろうとはしない



「え、いいよ」

『…？』



なんで？


さっき明らかに譲れって表情で目をウルウルさせてたじゃん。犬かよってくらいキュルキュルしてたじゃん。


あれはなんだったの？なんの訴え？




「きみの方のが0.1秒速かったからね。それに一応、俺のが先輩だからきみに貸してあげる！」



俺は優しいからな！なんて腰に手を当てる先輩


…ん？なにを自信げに言っているんだ？


理解に苦しむな。



「でも一つお願いがあるんだ！」

『…はい？』



いや、なんなんだ

４→←２

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す