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「目、覚めた?」
またか。
鼻につくアルコールの匂い
ベッドに腰掛けている善逸
聞かなくたってわかる。私、また気を失ったんだ
真っ白なカーテンで囲まれていて、この小さな世界には私と善逸だけ
そして、病室のように整ってはいないけど、ベッドの隣にはカバンが置かれていた
「帰ろう。大丈夫?歩けそう?」
善逸はそう言うと、ベッドから飛び降りて帰る支度を始める
『えっ、でもまだ』
時計を見るとまだ帰る時刻にはなっていない
みんな5限を受けている時間…
「まだ授業に戻るつもり?お前、真面目かよ」
『うるっさいわね』いつもの私ならこう言っただろう
でも今日はそんなこと言う気力もなければ、考えることもできない
それは善逸への申し訳なさか、本当に私が疲れてしまっているのか
善逸も私から反抗されるのを待っていたようで、予定していた言葉が出てこないからちょっと驚いている
「んまぁ、いいんだよ今日くらい。今日くらいサボろうぜ?宇髄先生にお前も帰れって言われたからさ?今回の欠席はノーカンにしてくれるって言ってたし。あんまり気にすんなよ」
『う、うん…』
「さ、行こう?歩けるか?」
善逸は私の分のカバンを持って、カーテンを開けた
シャーっとレールが走る音と共に、私もベッドから降りて急いで上履きを履いた
「あら、起きたのね?痛いところはない?」
とっくに私が起きていたことはわかってるはずなのに、敢えて声をかけないでいてくれたんだろう
珠世先生はデスクと向き合ったまま訊く
『大丈夫です。もう落ち着いたし、ちゃんと歩けるし』
「よかったわ。じゃあ善逸くん、お願いできるかしら?」
「はい」
善逸はいつものふざけた善逸じゃない
それは珠世先生も分かっているから、自然に保健室を出て行った
私も後を追いかけていこうとすると、「気をつけてね」と母親の眼差しを向けられる
冷め切った心の一部がほんのりあったかくなった気がする
あぁ、だから私は保健室が好きなんだ______
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レイ(プロフ) - 留射磨(ルイマ)さん» きゃあ!好きだなんて言っていただけて光栄です( ; ; )待って(笑)サイコロナステーキ先輩は笑いました(笑)ルイマさんも、お身体にお気をつけてくださいね(^^) (2020年5月7日 22時) (レス) id: 7b17ba10dd (このIDを非表示/違反報告)
留射磨(ルイマ) - すごい好きな作品です最近例のウィルスで大変ですよね 悪鬼滅殺ならぬ悪菌滅殺!がんばりましょう!サイコ口ナステ一キ先輩にまけるなっっ! (2020年5月7日 17時) (レス) id: 6a1df0e410 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - mustardさん» わあん!コメントありがとうございます(泣)作家、、なれるならなってみたいです(笑)あっ、、心臓がなくなっちゃう…みたいな話が好きなんです!素敵だなんて言っていただけて本当に嬉しい限りです( ; ; )私はmustardさんについていきます…!!! (2020年4月25日 15時) (レス) id: 7b17ba10dd (このIDを非表示/違反報告)
mustard(プロフ) - 作者さん…本当作家さんなりましょ???ヒナちゃんみたいに()甘酸っぱくて切なくて。それが繊細に書かれていて、凄く素敵な小説だと思いました…!もう作者さん一生ついて行きます…!!! (2020年4月25日 6時) (レス) id: e36ed0dc7b (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 七七四さん» お久しぶりです〜!どうなるんでしょうか、、弐の方で大きく話が動きますので楽しみにしていてください!わあ、、楽しみの一つだなんて光栄です(泣)一気更新を目指してたくさん書いていますので、しばしお待ちを〜!本当にお互いに安全第一で過ごしましょうね! (2020年4月17日 23時) (レス) id: 7b17ba10dd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レイ | 作成日時:2020年3月3日 11時