先輩は教祖らしい 壱 【童磨】

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保健室を出た私は、ある場所へ向かう



ある場所とは図書室



私が一番、安心できるところだ



図書室には陰キャみたいな人しか来ないから、誰も私に話しかけてこないし


私も話しかけないからすっごく楽



図書委員もどうせじゃんけんに負けたからみたいな、そんな理由で嫌々やってる人たちばかりで、気を使わなくていいんだよね





図書室はこの学校の校舎の一番上の、一番端っこにある



保健室は一番下の階



一番下から一番上まで階段を駆け上がるのはかなりくるものがある



普通の人ならきっとなんてことないんだろうけど、身体が弱すぎるんだ私は



倒れたのも6限の体育の時だし…



そろそろ倒れないように、人前に立つことに慣れないといけないな…



いや、これでもマシになった方だし、そもそも覚悟ができてたらいいんだ



全校集会の表彰みたいに、予め注目を浴びることが分かっていたら倒れることはないのに



あの善逸が…



急に私の名前を呼ぶから



本当に許せない善逸！！



まあでも善逸のおかげで読みたい本が見つかったし…



なんて色々と考えを巡らしながら図書室の前に立つ



もう息が上がっているから、深呼吸をして扉を開ける



教室中を見渡すと、うん、いつものメンバー



いつもの定位置に座って各々読みたい本を読んでる



私もいつもの場所に荷物を置いて、さっき見つけた本がある本棚に向かう



借りられたりしてないかな？



ちゃんと、あったらいいな…



期待と不安を胸に本棚の前に立つ



確かこの本棚のこの段…



本を探すために左から手を滑らせていく



あまり出し入れがない本棚なのだろうか



埃が手先に着くのがわかり、動かして行くたびに手がパサパサする



…あった



私の手はすぐに止まった



よかった。なくなってなかった！




本を抜き取ろうとして、上部に人差し指をかける




「それ…」




手が重なる感覚



えっ？



本を抜き取るのを阻む手



目を見開いて手の主を見つめる



相手も私を驚いた表情で見ていた




「これ、きみも借りるのかい？」





胸がジリジリと熱くなる気がした

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