先輩は教祖らしい 壱 【童磨】

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「どうしたの！？」



胸を押さえて丸くなる私を見て、童磨先輩は驚いた表情を見せる


背中に手を添えて、さすろうとしてくれるけど、私はそれを拒む



「顔色が良くないけど…大丈夫？」

『大丈夫です。なんか…デジャブ？」



相変わらずギュッと痛くなる胸


私は押さえながら童磨先輩に笑いかける




『前に経験したような気がするんですよね。でも、先輩と話すのはこれで3回目くらいでしょ？』




アハハ。まだそう何回も会ってるわけでもないし、昔からの知り合いってわけでもないのに。


おかしいでしょ_____


そう笑い話にしようと思ったら、童磨先輩も口を開く



「待って。俺もあるよ。きみを見つけた時、デジャブのようなものを感じた」



きみを見つけた時、それはいつの話？


図書室で会った時？廊下で会った時？さっき？


それとも、全部？




「きみと俺、どこかで会ったことがあるのかな？記憶にないくらい小さい時とか。それか前世、とかね」

『そう…かもしれませんね』



前世


そんなものあるのかな。私は前世だとか、バチとか、あんまり信じないけど。


先輩をチラリと見ると、満面の笑みで笑い返される


しばらくして童磨先輩はあっ、なんてなにか気がついたような表情をする



「そういえば、きみの名前は？ほら、まだ知らないから」

『Aです。一色A』

「Aかあ。いい名前だねえ」



ほら、また既視感


ドキン、そんな表現では足りないほど、胸の奥深くが握りしめられる感覚に陥る


このまま心臓発作かなにかで死んでしまうのではないか


なぜなんだろう。なぜこうなってしまうのだろう？


あなたに会うと、私はあの悪夢を見たかのように苦しくなる




キーンコーンカーンコーン



まるで私の罰の時間は終わりだ、そう告げるみたいにチャイムが鳴る


昼休みの終わりの合図だ


私はベンチを立ち上がる



『じゃあ、また』

「え、行ってしまうのかい？」

『次、移動教室だから』



名残惜しそうな顔をする先輩


さては先輩、サボるつもりなのかな




『そろそろ本、読み終わると思うので連絡しますね』

「うん、分かった。待ってるよ」

『サボったらダメですからね？』

「分かった分かった」



私は校舎に向かった


残ったのは童磨とAの微かな匂い



「困ったなあ。そんな笑い方をされたら、きみを知りたくなってしまうよ」



そして、童磨の呟いた声

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