先輩は教祖らしい 壱 【童磨】

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もうそろそろ梅雨になる季節


ジメジメとした空気がムシムシした空気を生んで、どうしたって気分が浮かないこの季節


ちょっと歩いただけでも汗ばむし、ほんとに嫌な気候だ


私は最近、教室と保健室を行ったり来たりする生活を送っていた


偏頭痛持ちですぐに頭が痛くなってしまうからだ


もちろん、ちょっと出席日数が危うい科目は我慢して授業に出ていたし、ちゃんと成績に響かない程度にやっている


私の事情を知っている先生は私の顔色が悪いと、すぐに保健室に行くように言う。なんともない時も。


元気なのにな…って困る時もあるんだけど、私は無意識に我慢している時があるから、先生には素直に従うようにしている



だけど、今日は誰も私の不調に気がつかなかった。


もちろん、私自身もいつもと同じだと思っていた



いや思い返してみれば、心当たりはあったかもしれない



妙にドキドキと動機が激しかった気がするし、身体が重たかったかもしれない


こんなこと言ったって、もう後の祭りだけど_____







3限が始まる前の休み時間


あと2時間受けたらお昼休みだ！ってポジティブに捉えるか、まだ2時間もあるってネガティブに捉えるか微妙な時間



私は今日もまた童磨先輩と放課後に会う


今朝も教室に来て私を呼び出した先輩。


早くこの心の奥深くに湧いた、黒い感情を消し去りたい。早く先輩に会って忘れてしまいたい、なーんて


だから私は今少しポジティブなのかもしれない


そんなことを思いながら3限の授業がある美術室へ向かう



美術室があるのは3年生の階


絵具とスケッチブックを持って階段を登る



あれ、なんかフワフワするな


地面がグルグルと回っているような気がする


私の足、ちゃんと床についてるかな


歩くスピードもだんだん遅くなっていく中、私は一生懸命足を動かす



大丈夫。美術室に着いてすぐに座ればきっと大丈夫



あと少しだから…



頑張って歩くけど、視界がボヤけていく



そして次第に黒い闇に浸食される




…あぁダメだ



吸い込まれる



何も見えなくなっていく中で、少し光が見える



手を伸ばそうとするけど届かない





「A！！！！」





善逸が私を呼ぶ



グラっと反転した世界で、私は遠くに童磨先輩の姿を捉えた



…先輩っ




ボロボロと絵具のチューブが転がり落ちた



そして、私の身体もバタリと音を立てて倒れた

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