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数日後、予定通り無事に退院したAと一緒に家に帰ると、いろはとぽてとが出迎えてくれる。久しぶりにAの顔を見た2匹は心なしか嬉しそうだった。
「久しぶりの我が家だ」
「......改めて、おかえりA」
「ただいま、まふくん。いろはちゃんとぽてとちゃんも、ただいま」
ふわりと笑って2匹の頭を撫でる彼女。日常が返ってきたんだと実感して、自然と僕の頬も緩んでいた。
*****
あの後、いろはもぽてともAにべったりで離れなかった。やっぱり、久しぶりに会えて嬉しかったんだろう。
遊び疲れて眠った2匹を猫部屋に連れていってくれたAが戻ってきた。そんな彼女にどうしても気になっていたことを聞いてみる。
「あのさ、聞きたいことがあるんだけど聞いてもいいかな？」
「どうしたの？」
あの日、聞きそびれた言葉を。もう一生、答えを聞けないかもしれないと覚悟していた言葉を。
「あの日、事故にあった日。最後の言葉はもう決めてるって言ってたけど、Aの最後の言葉はどんな言葉なの？」
「あー......。多分、まふくんが思ってるほど大した言葉じゃないよ？ありきたりで今日も昨日も沢山使った言葉だもん」
「いいよ、それでも。僕が聞きたいんだから」
二度と後悔しないように。あの時ちゃんと聞いておけばよかったと、もう思わなくてもいいように。
「そっか」
「うん、だから教えて？
もし明日、世界が終わるとしたらAは最後にどんな言葉を伝えるの？」
「私の最後に伝えたい言葉は"______"」
素直で真っ直ぐな彼女らしい言葉に思わず笑みがこぼれた。たしかにありきたりな言葉だったけれど、それでも彼女の思いがしっかり伝わる言葉だった。
『私の最後に伝えたい言葉は"ありがとう"。
最後の言葉は感謝の言葉でありたいから』
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作者名：作者一同 | 作成日時：2019年10月6日 10時
