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*** ページ14

「怖い?」


「怖くないよ」



彼女を優しく抱いて、屋上のへりに立つ。



「ほんとのほんとに降りるの?」


「うん?そうやで」



怖くないと言いつつも、体は正直だ。腕に思いっきり力を込めて俺の首に必死にしがみついていることに、彼女自身は気がついているのだろうか。



「なんて言って降りようか」


「せーの、とか?」


「そ、そうじゃなくて!」



彼女はぼそり、下を向きながら呟いた。



「最後になにか、伝えたいこと」



伝えたい……こと。



「ない!」


「えっ」


「Aはあるん?」


「え、いや、わかんない」



行くよ、なんの脈絡もなくそう言ったのが悪かったのか、俺が壁を蹴ったと同時に彼女は悲鳴をあげた。



「っひ、きゃぁぁぁ!!!!!」


「大丈夫やで」



風の抵抗を受けながらもなんとか彼女を抱きしめ、思いっきり力を込めた。





(この世界に"ころされる"なら、自分達で"しぬ"方がよっぽど幸せになれると思わない?)





こんな世界から抜け出して、2人だけの世界で、また幸せになろう。
これは俺達の、最初で最後の逃避行だ。



最後の言葉なんていらない。
最後に伝えたい言葉なんて、あってほしくもない。

だって





(俺達、ずっとずっと、一緒やで)





そうやろ?






┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈



おはようございます。
×月×日×曜日、朝のニュースをお伝え致します。

一昨日全世界に発表された「世界最後の日」は嘘の情報だったことが判明致しました。
政府は未だコメントを発表しておらず、発表の本来の意図など、真相の究明を求めていく方針です。
また複数人でのまとまった死体が全国で発見されています。警察は今回の発表が原因と思われる心中などの集団自 殺と見ており、事件性は低いとして調査を進めていく模様です。

次のニュースです。昨日未明___

★【センラ】たとえ私が××でも。/白雨→←***



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作者名:作者一同 | 作成日時:2019年10月5日 5時

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