検索窓
今日:3 hit、昨日:6 hit、合計:44,450 hit

53 ページ3

*





「少しだけ、噛んでい?
Aの血、欲しい・・・」




そう言われた後、
私の血を吸い上げた洋平さんが




「今日のA、すげえ甘いね・・・」




呟くように囁いて、初めて口唇が重なった。




洋平さんとした初めてのキスは
ほんの少しだけ血の味と匂いがした。




口唇が離されるとその瞳からは
押し倒された時の冷たさは消えていて、


じっと私を見つめてくる瞳には
優しさと好意のようなものまで感じられて




今の洋平さんになら話すことが出来るって
私の気持ちを知ってもらいたいって
そう思った。




「どうして私が洋平さんの役に立ちたいって思うか
分かりますか?」




気付いて欲しい。


洋平さんになら
血を分けてもいいと思ってる理由を。


血を美味しくいただく為の行為だと分かっていても
こうして抵抗することもなく、
抱かれようとしている理由を。




だけど洋平さんは私の言葉を聞いたあと
その目を曇らせた。




目を逸らしたまま
全然こっちを見てくれなくて、


私の目も顔も見ることなく




「・・・さあ、・・全然分かんない」




そう言った。




・・・どうしてですか?


ここまでしてもやっぱりダメ?


私はどう足掻いても
洋平さんからしたらただの提供者でしかない。


そういうことなの?




そう思ったらここ最近の気まずい生活には
もう耐えられなくて


これ以上、自分の気持ちに嘘を吐いて
言い聞かせていくことは苦しくて




「洋平さんのこと、、好き、だ、から」




想いが溢れだした。




込み上げてくる想いを抑えきれなくて、
誰かにこんな風に想いを告げたことなんて
今までに一度だって無かった。




だけど、一瞬動きを止めた洋平さんの表情は
長い前髪に隠されて見えなくて。




「・・・」




少しの沈黙があった後、
洋平さんはガバッと起き上がると
そのまま部屋を出て行った。




「洋平さんっ!」




呼び掛けに振り返ることもなく
バタンッと寝室のドアが閉ざされる。




言っちゃ、ダメだった、、、。




洋平さんは私の血が欲しかっただけで
そこに恋愛感情なんて必要なくて、


むしろそんな気持ちを持ち込まれたら
ただ迷惑なだけで・・・。




そう思ったらどんどん涙が溢れてきて、
そのままベッドの上で泣きじゃくった。





*

54→←52



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (102 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
108人がお気に入り
設定タグ:ALEXANDROS , 川上洋平
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

叢雲(プロフ) - remonedo0130さん» ご覧いただけたようで良かったです(^-^) (2019年4月23日 0時) (レス) id: 2d202b4602 (このIDを非表示/違反報告)
remonedo0130(プロフ) - ありがとうございます。無事に観覧できました! (2019年4月22日 22時) (レス) id: e8e3ac6beb (このIDを非表示/違反報告)
叢雲(プロフ) - remonedo0130さん» 初めまして。ご覧いただきありがとうございます。マイページの設定→コンテンツ設定からR18フィルタを確認してみてください。表示される設定にしてからログインした状態でunder groundで検索していただくか「この作者の全作品を表示」からご覧いただけると思います。 (2019年4月21日 20時) (レス) id: 2d202b4602 (このIDを非表示/違反報告)
remonedo0130(プロフ) - 初めまして。偶然こちらのお話を見つけて一気に読んでしまいました(*^^*)素敵なお話ありがとうございます。under groundも読ませて頂きたいと思ったのですがログインしてても見つける事ができませんでした(>_<)何か方法教えて頂ければ幸いです。 (2019年4月21日 11時) (レス) id: e8e3ac6beb (このIDを非表示/違反報告)
叢雲(プロフ) - 吉野さん» 完結しました〜。最後までお付き合いいただきありがとうございました。いつも楽しみにしていただいて励みになりました(^-^)続きについてはまだ何も思い浮かんでいないので思い付いたらの話になってしまうんですが、気長にお待ちいただけると幸いです(^_^;) (2019年4月7日 0時) (レス) id: 2d202b4602 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:叢雲 | 作成日時:2019年3月9日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。