LAST MINUTE

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「あ、起きたんだ。おはよう」




部屋に入ってきた男の人はそう言って
にこっと微笑んだ。




「え、あのっ、あ、おはようござ、
・・・あの、ここはどこですか？」

「ふはっ、もしかして私は誰ですか？
とか言っちゃう？」

「・・・はい？」

「ああ、ごめん。こっちの話。笑
ここは俺ん家だけど」

「あの、えっ、なんで、私、
見ず知らずの方のお家に、、、？」

「あれ？俺の顔覚えてないの？
道の曲がり角でぶつかったんだけど」




ああ、やっぱり夢じゃなかったんだ。
ちゃんと記憶が合ってて良かった。




「でも、あの、なんでここに？」

「あのあと君さ、倒れちゃって、
倒れてというか気を失ったみたいで」

「・・・そうなんですか？」




ぶつかったくらいで気を失うなんて
そんな虚弱体質じゃなかったはずだけど、
急なことでびっくりしたのかな？




ああ、でも、それどころじゃなかった。


いきなり気を失って、
きっとこの人の方が驚いただろうし。




座ったままじゃ失礼だと思って
ベッドから出て立ち上がって




「ご迷惑お掛けしてすみません」




ばっと頭を下げると、また眩暈がした。




「大丈夫！？」




駆け寄ってくれたこの家の家主が
私の体を支えてくれる。




「あ、・・・すみませ、・・・平気、です」

「もう少し横になったら？」

「いえ、そういう訳には・・・」




全然知らない人に
これ以上迷惑を掛けるわけにはいかない。


そう思って歩き出そうとすれば
また足元がふらついて




「ほら、やっぱり無理だよ」

「でも、」

「勢いよくぶつかったから、軽い脳振盪でも
起こしてるかもしれないよ？」

「・・・ほんとに、すみません」

「いいよ、大丈夫。
俺は全然平気だから気にしないで」




クラクラとする頭を抱えながら、
またベッドへと逆戻りした。





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