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≫5話 ページ8

『いや!そうじゃない!!』

「やっぱり口に合わなかった?」

『いや、ご飯はとても美味しいです……』


そう言うと嬉しそうな表情を浮かべていた。
食材を使ってくれてよかったじゃなくて、なんで、この人が私の家にいて、ご飯を作っているのかだ。


『あの、』

「ん?あぁ、なんで、俺がここにいるのか、だったよね」


聞くよりも先に話してくれるらしい。
お腹すいてるでしょ?食べながらでいいよ。と言ってくれた。


「まずは、そうだなぁ。自己紹介からかな?」

「俺はセラフ。セラフ・ダズルガーデン。君の言う配達のお兄さんで、君の家にお邪魔した人、かな」

『はぁ……』

「そして、夏木Aさん。貴方が健康的な生活を送るために俺はここにいる」


この時点で状況がおかしい事はわかっている。
知らない不法侵入者を家に入れたまま、知らない人の手料理を食べながら話を聞いているなど、普通では無い。
私の健康の為とかなんの得にもならないことをする為にいるとか信用ならないし、本来は通報しなければならない。
でも、何故かこの人は安全だと思っている自分がいる。


『理由は、わかりました』

『でも、何故ですか。私である必要とあなたにとってのメリットが分かりません』


分からないのだ。なぜ、この人は危険そうなのに安全だと思うのか。なぜ、私なのか。なぜ、私に時間を割くのか。私は家政婦とかそういうの頼んでないし、叔母さんもそんなこと頼んでない、と思う。
本当にわからないと思っていると、セラフと名乗ったお兄さんはふわりと微笑んだ。


「これはね、俺の為なんだ。自己満足の為。君が健康的に過ごしてくれればいいっていうエゴ」

『でも、関わりなんてありませんよね。先日配達して貰っただけ』

「君がそう思うならそうかもね」


お金とか取らないから、ほら、ご飯食べてしまいなよ。と、お兄さんは続けた。
お兄さんは動く気配はなく、食べ終わるまでここにいるらしい。
残りを味わいながら完食する。あぁ、深夜にこんな普通の量食べてその後寝たら絶対ヤバい……


『ご馳走様でした』

「うん。片付けておくから、シャワーだけでも浴びておいで」

『いえ、大丈夫です。自分で片付けます。お兄さん、ご飯ありがとうございました』


この人はいつまでいるつもりなのだろう。片付けまでさせたら、居座られるかもしれない。もう、帰ってもらわなければ。

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作者名: | 作成日時:2024年2月29日 23時

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