≫4話 ページ7
どうして私の家にいるのか。どうやって家の中に入ったのか。何故家でご飯を作っているのか。待って、ご飯美味しそう。通報すべき？そもそも、この人、誰……？
聞きたいことは山のようにあるし、とても、怖い。
『あの、どちら様ですか……？』
勇気をだして、声をかけた時に気がついた。
綺麗な色。夕日のような、夜空のような、とても、綺麗な色。そんな特徴的な瞳を最近も見た。
そう、確か、
『配達の、お兄さん……？』
なんで、配達のお兄さんが家の中にいるの？
一人で混乱していると、お兄さんはどこから説明しようかな〜っと言っていた。
説明もなにも、不法侵入では？恐怖と混乱としていると、グゥーと鳴った。
私のお腹が鳴らした音だった。それを自覚すると同時に顔が熱くなる。それはお兄さんにも聞こえてたみたいで、目をぱちくりとさせていた。
「ご飯食べよっか」
そう言ったお兄さんは少し微笑んでいた。
「とりあえず、食べてよ。食べてる間に説明もするから」
『い、いただきます……』
「はい、どーぞ」
怪しいものとか入れてないからと言いながら、私の目の前に炊きたての白ご飯を置いてくれるお兄さん。
いただきますとは言ったものの、この状況でご飯を食べていいのかとか、危険かもしれないとか怖いとか考えていた。
しかし、机の上を見ると、さっきの考えが全部吹き飛ぶほどに、とても美味しそうな料理が並んでいた。
久々に、温かい私の為に作ってくれた手料理。美味しそうと感じた手料理。
「やっぱり、知らない人の手料理とか、食べたくないよね」
『え、あ、いや、美味しそうだなぁって、思いまして……』
中々手をつけない私を見てか、少し悲しそうな顔をしながらお兄さんはこちらを見ていた。
お兄さんは食べるつもりが無いのか、茶碗やお箸は用意していなかった。
もしも、毒とかが入っていたとしても、その時はその時。両親の元に行けると覚悟し、用意されていたおかずに手をつける。
『！！……おいしい』
「口にあったならよかった」
用意されていたのは、家の冷蔵庫にあったであろう豚肉と野菜を使った野菜炒めと、恐らく冷凍室に入っていたほうれん草を使った、ほうれん草のゴマ和え、玉ねぎと豆腐の味噌汁。
どれも、私の家に残っていた食材と一致している。
早く消費しないと、と思っていた豚肉を使ってくれているのはありがたい。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 260人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゃ | 作成日時：2024年2月29日 23時
