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≫3話 ページ6

どれだけ日中が暖かろうと、夜になれば寒い。夜までのバイトは帰る時が1番キツイかもしれない。
ご飯どうしよう。何が食べるのあったっけ?作ってるのは……ない。作るの面倒だし、もう帰りついたら深夜前だから食べるのやめとこうかな。
そんなことを考えながら、家の近くの道を歩く。
もう少しで家に帰り着く。部屋は冷えているだろうから、早く寝室だけでも温めておこう。その後お風呂……シャワーでいいか。などと、家に帰りついた時の優先順位を決めながら歩く。


寝るまでの優先順位を大体決め終わった頃には家に着いていた。
カバンの中から家の鍵を取り出し、迷わず鍵を開けて扉を開く。

『ただいま』

いつもの様に返事が来ないが、昔教えてくれた挨拶を欠かさずに言う。今はいないけど、今でも大切な親が教えてくれたことだから。

そう挨拶をした後気がつく。何か違う。
いつもの冷たい空気ではなく、ほんのり暖かい空気が頬を撫でる。
リビングは電気がついており、そこからソース系の香りが漂ってくる。


いつもの冷たく暗い部屋。返事の帰ってくるはずのない部屋。
なのに、今は何故か暖かく明るい部屋。そして、リビングの方から足音が聞こえる。

リビングと廊下を隔てている扉が開く。


「あ、おかえり。ご飯出来てるよ」


エプロンを付けた高身長の男性が出てきた。


『……間違えました』


そう言って私は玄関の扉を開けて、外に出る。
電気が付いていて暖かくて、美味しそうなご飯の香りが漂っている部屋は間違いである。なにより、エプロンを付けた高身長のイケメンがいるなんて私の家では無い。
そう思考し、急いで表札を確認する。
しかし、「夏木」と書かれており、ここは私の家で現実なのだと突きつけられる。

もう一度玄関を開けようと思っていると、先に内側から扉が開けられる。


「ちょっと!?ここ、君の家で合ってるから!!」

『えっと、つまり、通、ほう??』

不法侵入者ってことで合ってます??
そう告げるよりも先に、知らない男性は、えっと、寒いから、とりあえず入ろ?と提案してきたので、黙って玄関に入ることにした。

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作者名: | 作成日時:2024年2月29日 23時

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