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ある時から一人だった。
面倒を見てくれる叔母さんは私の過ごす家に、両親と過ごしていた家に来ることはほとんどなかった。
連絡と生活費を入れてくれて、気にかけてくれていた。別に仲が悪い訳でも無くとても良くしてくれていた。ただ、家に来なかっただけで……
いつからかそれは当たり前で、寂しいなんて思うことはなくなって、一人にも慣れた。
静かでひんやりとした部屋。日々適当になっていく食事。
全て睡眠さえあれば関係ない。
だって、夢の中でなら、明るくて賑やかで、何より、色がついていたから。
叔母さんが大学に通った方がいいと勧めてくれて、大学に通っているけれど、色がついていない。明るくて賑やかではあるけれど、友人もできたけれど、色づくことは無かった。
奨学金返済や授業料のことを考えてバイトを沢山入れて、どんどん自分のことが疎かになる。
寝て起きて授業を受けて、バイトして寝るの繰り返しの日々。
寝ることが癒しで、寝ることが全てになっていった。
『へぇ〜、枕ってこんなに種類あるんだ』
そんな私は少しでも快適に寝る為に寝具を調べる。
枕の種類の多さに驚きながら、ある抱き枕に視線が奪われる。
『可愛い……アヒルのぬいぐるみ……』
160cmサイズのぬいぐるみが抱き枕として売られていた。
少しアホ面なこの感じがとても癒される。
『よし、買お！』
そう言ってから、お急ぎ便で届けてもらうことにした。
明日の午後に届くが、今から待ち遠しくて仕方がない。
『もう、ご飯はいいや。寝よう』
不思議とお腹は空いていなかった。今はそれ以上に身体が睡眠を欲している。
今日も、一人の家で、静かな部屋で布団に丸くなって夢の中へ旅立つ。
きっと、今日は変な顔をしたぬいぐるみが出るのだろうか？
それとも、いなくなった人が出るいつもの夢だろうか。
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作者名：ゃ | 作成日時：2024年2月29日 23時
