≫8話 ページ11
お兄さんが作っていたご飯はもうほぼ出来ていたみたいで、荷物を持ったまま、お兄さんに続いてリビングに入るとおかずやサラダ等が机の上に並んでいた。
明日買い物に行こうと思っていた為、冷蔵庫の中はあまり無かったような気がする。
だけど、机の上に並んでいる料理はそれなりの品目で……
机の上を見て驚いていると、まだお皿を持って出てきた。
「荷物置いておいで。もう食べれるからさ」
『あの、食材買ってきたんですか?』
返事をするよりも先に、疑問をぶつけた。
私の家の材料だけで作っているのならいいが、わざわざ食材を買ってきて料理をしてくれているのなら話は変わってくる。
「まぁ、うん。食材が足りなかったら困るからね」
余った分は明日とかに回したらいいかなって。とお兄さんは言った。
その明日って言うのは、お兄さんの家で使うっていう方ですよね?とは聞けなかった。聞いてそうであると安心したいが、明日も私の家に来るかもしれないという想定をを確定させたくもなかった。
『そう……ですか。あの、着替えてきますね』
「うん、行っておいで」
やんわりと微笑むお兄さん。なぜ、こんなにも無条件に優しくして、ご飯まで作ってくれるのだろう。
自己満足の為に不法侵入して、ご飯を作って、出迎えてくれるなんて、納得できるわけがない。
自室に入り、荷物を置いて着替えつつ考える。
例えば、どこかの誰かと間違えているとか?しかし、名前も間違えていなくて、本当に私に対して話している。間違いとかでは無い。
なら、自己満足といいながら、叔母さんが頼んだ家事代行……はないな。先日、確認したけど知らない様だった。
ならば、どこかで会っている?でも会っているのは配達をしてもらった時だけ。
……本当に??
『……わからない。なんで』
なんで、お兄さんは私の家に来ているんだろう。
なんで、時間を使ってくれるのだろう。
考えても答えは出てこなくて、これ以上考えてもせっかく作ってくれたご飯が冷めてしまうだけだ。
時間を使ってくれた分は美味しく食べるべきと思い、急いでリビングに足を動かす。
そういえば、今日も美味しそうな匂いがしたなぁ。
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作者名:ゃ | 作成日時:2024年2月29日 23時