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「つっても…何もねェぞ?燃え残った柱や瓦礫しかねェからな」

『それでも構わないわ』

「嬢ちゃん、浅草の人間じゃねェだろ。んな所に何の用事だ」

『調べ物よ。聞けば燃えて第8特殊消防隊が調査した後、手付かずの状態らしいじゃない』

「お前さんのようなガキが見ても何もわかんねェだろ」




ガハハハと笑うオヤジに
たった今受け取った林檎飴を
ぶん投げてやろうと思った





「それにあの場所は"立ち入り禁止"なんだ。"紅ちゃん"達が頻繁に見回りしてっから見つかったら大目玉喰らうぞ?」





子供の格好をしているので
我儘を通せば何とかなると思っていたが
甘かった

原国主義者の多い浅草は
皇国軍の介入を許していない

自警団がそのまま第7特殊消防隊になったので
町の治安も第7が行っているのだ

誤算だった
可愛い幼女ならば笑って許してくれる
甘い連中達じゃ無かった

皇国から不当な弾圧を受けて来た故に
余所者にいい顔をしないのは当たり前だ

それでも諦めきれないAは
露店のオヤジにしつこく問い詰めて
場所を吐かせた


浅草の道を歩けばジロジロと
町民達の視線が突き刺さる

見慣れぬ黒い日傘に洋服
一眼でAが浅草の人間じゃない事が
わかるだろう

だが彼女にとってそんな下らない物
どうでも良かった



小さな林檎飴を齧りながら
目的の場所まで辿り着く




『…………』




露店のオヤジが言っていた通り
この当たり前の見回りはかなりの頻度で
火消しの人間が通っている

強行突破で立ち入り禁止の立て札より先へ
踏み入れば、たちまちピーっと笛の音が鳴り
火消しの人間達が集まってくる

ちなみに足を踏み入れたのはAでは無い

好奇心旺盛な浅草の子供達だ。

きっと隠れ鬼や鬼事をするのに
あの場所はうってつけなのだろう



一頻り観察したAは
大きなため息をついて浅草から姿を消した








『(作戦を練り直してまた浅草へ出向かなきゃならないなんて…)』

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ゆー - アアアアア紺さんと紅ちゃんも来たヨォ最高 (2020年12月3日 22時) (レス) id: a1e8810d71 (このIDを非表示/違反報告)
辰砂(プロフ) - あおいさん» コメントありがとうございます(^^)楽しんで頂けて幸いです!このご時世ですからね…今の所体調不良は無いですが私のペースで更新しますので何卒宜しくお願いします (2020年9月9日 16時) (レス) id: 96fa6c78c6 (このIDを非表示/違反報告)
あおい(プロフ) - とても雰囲気が好きです!前作に引き続き、楽しませてもらってます。こんな世の中なので健康に気をつかいつつ、更新頑張ってください! (2020年9月8日 23時) (レス) id: 23cfa4baa4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:辰砂 | 作成日時:2020年8月31日 13時

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