鑑識課の女3【名探偵コナン】

ちょっとしたパーティ8 ページ44

(あの時の零さん、めっちゃくちゃ格好良かったよなぁ…)


Aは視界の先にいる高身長の男性をボーっと見ながら古い記憶を見ていた。
あの時、タキシードをビシッと着こなして、半分後ろに流すようにセットされた髪は、きっと今日この会場にいても目立つことだろう。
ふと、男性と目があったような気がしたけど気のせいだろうか。


「Aさん、ボクちょっと蘭ねぇちゃんのところに行ってくる！」


と、コナンが蘭の方へ勢いよく走って行った。なるほど、蘭達が男性陣から声をかけられている。


(小さなナイトの出番だぞコナン君。)


コナンは持ち前の子供らしい演技力で蘭にケーキが食べたいとゴネ始めた。会話を邪魔された男性陣は散って行った。
そうやっていつもコナンは蘭を守っているのかと思いAは微笑ましくその様子を見ていると、


「おひとりですか？」


と、後ろから声をかけられた。Aが振り返ると、そこには先ほど遠巻きに見ていた長身の男性がいた。


「知り合いの子供を見ているんですが、今はあっちに。」


蘭とともにいるコナンを指差すと、男性は爽やかに笑った。


「そうですか。ではあの子があちらにいる間は、僕が貴女のお相手をしても良い訳だ。」
「はい？」
「さっき貴女、僕の方を見ていたでしょう？目が合いましたよね？」


確かに。降谷のことを考えながらぼんやりと彼を見ていた。目があった気もする。「貴女みたいな綺麗な人に見つめられて気付かない訳ないですよ。」と、にこやかに話す男性を見ながらAは必死に考えていた。


(この人誰だっけ………？！)


テレビで見たことはある。見たことあるんだけど、何で見たか思い出せない。もちろん名前も思い出せない。


「あ！名乗るのを忘れていました。僕は城山ユウタ。メディアにも結構出させてもらってるんだけど、知ってるかな？」


(あーー！！！)


Aはようやく合点がいった。そうだ！この人、城山ユウタだ。世界的ファッションデザイナーのヨーコ・シロヤマを母親に持つセレブモデルだ！たしか、


「たしか、パリコレに出たってこの前テレビで…」
「そう！よく知ってるね！」


城山はAの両手をギュッと握って喜んだ。

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