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同じ景色を。【神宮寺寂雷】 ページ42

卒業式が終わり、最後のHRも終わった。
誰も居ない教室に残っているのは、私と彼女だけ。
窓から入り込む春風が、彼女の髪を揺らす。
白い肌は、光に照らされ一層白く見えて。
___思えば、完全に一目惚れだった。
彼女を見た瞬間、
「あぁ、きっとこの人だ。」
なんて思った日が、懐かしく感じられる。
彼女とは偶然将来の夢が同じで、一緒に受験勉強をしたり。
共に過ごす時間が多かった。
無事同じ医大に合格した時、号泣していた彼女の姿を思い出す。
「ふふ、Aさんとは色々なことがあったね。」
どの思い出も懐かしくて、笑みが零れる。
『そうだね。寂雷くんには色々恥ずかしいところを見せちゃったな...。』
照れたように顔を手で覆う姿がまた、愛しくて。
「気にすることはないよ。とても楽しかったからね。」
『私も凄く楽しかった。3年間ありがとう。』
「私の方こそ、ありがとう。そして、これからも宜しくね。」
そう言うと、赤らんだ頬のまま微笑む彼女。
『あ、そうだ!』
どうやら、何か思いついたようで。
『寂雷くんさえ良ければ、春から一緒に通わない?』
「え?」
思いもよらない嬉しい提案に、驚きの声が漏れる。
『あっ、嫌ならいいんだよ!』
私の気持ちを優先しようとしてくれる。
...でも。
嫌なわけ、ないじゃないか。
「寧ろ嬉しいよ。」
素直にそう告げると、
『良かった...。』
安堵したような表情を浮かべるものだから、ひょっとして、なんて自惚れてしまう。
『じゃあ、待ち合わせ時間とか決めないと。』
楽しそうに笑う姿が綺麗で見惚れてしまう。
『あれ?寂雷くん?』
急に黙ったことを心配したのか、私の方を振り向く。
「...Aさんがあまりにも綺麗で見惚れてしまって。」
『じゃ、寂雷くんって、色々な意味でストレートだよね。』
そう言って顔を真っ赤に染める彼女。
「?」
意味がわからず、首を傾げると。
『私も仕返し、していい?』
なんて尋ねてくるから、
「いいよ?」
と言うと。
『寂雷くんの笑顔が好き。綺麗な髪も好き。声も好き。』
「えっ、急にどうし...。」
問いかけようとした言葉は
『私、寂雷くんが好き!』
彼女に遮られた。
「それは、私から言いたかったな。」
まさか、同じ気持ちだったなんて。
「私も、Aさんが好きだよ。良ければ恋人になってくれないかな?」
『はい!』
彼女の目から零れ落ちる涙を拭いながら、微笑む。
いつも、君と同じ景色が見たくてしょうがなかった。
___これからは、君の隣で、同じ景色を。

またねって言うよ。【伊弉冉一二三】→←名前を付けるなら。【有栖川帝統】


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月川利乃(プロフ) - 真琴さん» ありがとうございます(´;ω;`)そんな風に思っていただけるなんて、本当に嬉しいです。まだまだ未熟者ですが、頑張っていきます! (2019年3月19日 20時) (レス) id: 8515e66b17 (このIDを非表示/違反報告)
真琴 - 完結おめでとうございます!とても大好きな作品です。続編も楽しく読ませていただいてます。これからも頑張って下さい! (2019年3月15日 0時) (レス) id: 5e6ad04f41 (このIDを非表示/違反報告)
月川利乃(プロフ) - 月華姫さん» それとお知らせなのですが、こちらのお話の方が話数上限に達してしまい、続編を作成致しましたので、リクエストはそちらの方にお願いいたします_(._.)_いつでもお待ちしております! (2019年3月13日 1時) (レス) id: ed7493f8a7 (このIDを非表示/違反報告)
月川利乃(プロフ) - 月華姫さん» 喜んでいただけたのなら幸いです!ホワイトデーネタ、実はうっかり今日投稿しそうになって焦りました(^_^;)明日は間違えないようにしっかり投稿します( ´∀`)b (2019年3月13日 1時) (レス) id: ed7493f8a7 (このIDを非表示/違反報告)
月川利乃(プロフ) - 月華姫さん» こちらこそ、リクエストありがとうございました!筋肉本ってどんなのかな、なんて呑気に調べたら、とてつもない世界が広がっていて驚きました(笑)とりあえず誰かを脱がせようと思って抜擢されたのが左馬刻様と先生です。 (2019年3月13日 1時) (レス) id: ed7493f8a7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:月川利乃 | 作成日時:2019年2月22日 22時

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