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貴女は知らないだろうけど。【毒島メイソン理鶯】 ページ38

「A、三年間世話になったな。」
『ううん、こちらこそ!三年間ありがとう!』
にこにこと笑う彼女を見て、心が和む。
「これから別々の道を歩むことになるが、もし何かあったならいつでも相談してくれ。」
『理鶯くんこそ、いつでも相談してね。』
ふわふわとした髪も、透き通るほど白い肌も、鈴の音のような心地良い声も。
___彼女の全部が好きだった。
この3年間、彼女だけを想い続けてきた。
目の前で無防備に笑う貴女は、全く知らないだろうけど。
『あ!理鶯くん。』
「何だ?」
何かを思い出したかのように突然そう言う彼女。
『実はね、ここに映画のペアチケットがあるんだよ。』
「それがどうかしたのか?」
『卒業祝いに、二人で行かない?』
随分と、嬉しい話題を持ってくるものだ。
もう会えないと思っていたから、素直に嬉しい。
「有り難い。是非行かせて貰おう。」
『理鶯くんなら、そう言ってくれると思ってたよ。』
彼女は、嬉しそうに笑った。
『じゃあ、今週の土曜日、駅前に集合ね!』
「了解だ。」
その日の帰りは、土曜日何を着ていくべきだろうかなんて、街の華やかなショーケースを眺めながら考えていた。

___

『お待たせ、理鶯くん。』
待ち合わせの15分前に駅前に着いてから、すぐに彼女が来た。
読んでいた本から顔を上げ、視線を向けると。
「...!」
一瞬、息が止まるかと思った。
いつもよりも綺麗な彼女は、制服とはまた違う、清楚な雰囲気だった。
『ごめんね。服選ぶのに、時間かかっちゃって...。』
「今来たところだから気にするな。それに、凄く綺麗だぞ。」
そう言うと、みるみるうちに頬が赤く染まっていく。
『理鶯くんもその、格好良いよ...?』
照れながらもそう褒めてくれる彼女に、トクン、と胸が高鳴った。

___

『面白かったね!』
映画が終わって、満足そうに呟く彼女。
終始コロコロと表情が変わる彼女を見るのが面白かった。
勿論、映画もちゃんと観た。
「あれはなかなか面白い作品だったと思う。」
『だよね!また今度、何か観にこようか。』
次があるのか、と考えて嬉しくなってしまうあたり、どうしようもなく彼女のことが好きなんだなと実感させられる。
「今度が楽しみだな。」
『そうだね!』
相変わらず無邪気に笑う彼女。
『理鶯くんと来れて本当に楽しかった!今日はありがとう。』
駅前で別れる時、笑顔でそうお礼を言ってくれた。
その笑顔も、嬉しそうな姿も、全部が好きだなんて。
きっと貴女は知らないだろうけど。

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月川利乃(プロフ) - 真琴さん» ありがとうございます(´;ω;`)そんな風に思っていただけるなんて、本当に嬉しいです。まだまだ未熟者ですが、頑張っていきます! (2019年3月19日 20時) (レス) id: 8515e66b17 (このIDを非表示/違反報告)
真琴 - 完結おめでとうございます!とても大好きな作品です。続編も楽しく読ませていただいてます。これからも頑張って下さい! (2019年3月15日 0時) (レス) id: 5e6ad04f41 (このIDを非表示/違反報告)
月川利乃(プロフ) - 月華姫さん» それとお知らせなのですが、こちらのお話の方が話数上限に達してしまい、続編を作成致しましたので、リクエストはそちらの方にお願いいたします_(._.)_いつでもお待ちしております! (2019年3月13日 1時) (レス) id: ed7493f8a7 (このIDを非表示/違反報告)
月川利乃(プロフ) - 月華姫さん» 喜んでいただけたのなら幸いです!ホワイトデーネタ、実はうっかり今日投稿しそうになって焦りました(^_^;)明日は間違えないようにしっかり投稿します( ´∀`)b (2019年3月13日 1時) (レス) id: ed7493f8a7 (このIDを非表示/違反報告)
月川利乃(プロフ) - 月華姫さん» こちらこそ、リクエストありがとうございました!筋肉本ってどんなのかな、なんて呑気に調べたら、とてつもない世界が広がっていて驚きました(笑)とりあえず誰かを脱がせようと思って抜擢されたのが左馬刻様と先生です。 (2019年3月13日 1時) (レス) id: ed7493f8a7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:月川利乃 | 作成日時:2019年2月22日 22時

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